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画像・建築物・内装の意匠登録とは?2020年改正で広がった保護対象を弁理士が解説

悩んでいる方
アプリの画面デザインや、お店の内装、建物の外観も意匠登録できると聞きましたが、本当ですか?

こうした疑問にお答えします。

意匠登録といえば、以前は「物品」、つまり手に取れる製品のデザインを守る制度でした。ところが、2020年4月1日に施行された改正意匠法で、画像(物品に記録・表示されていないものを含む)、建築物、内装のデザインも保護対象になりました。

本記事では、特許事務所BrandAgentの弁理士・叶野徹が、それぞれ何が登録でき、何が登録できないのか、出願の実務でどこに気をつければよいのかを解説します。IT企業、店舗ビジネス、設計事務所、工務店の方にも知っていただきたい内容です。

※2026年11月時点の情報です。

この記事で分かること

  • 2020年改正で新たに保護対象になったもの
  • 画像の意匠:登録できる画像・できない画像
  • 建築物の意匠:どんな建物が対象か
  • 内装の意匠:「統一的な美感」という要件
  • 公開してしまった場合の新規性喪失の例外(1年)

2020年改正で何が変わったのか

改正前の意匠法では、保護対象は原則として「物品」(動産)の形状等に限られていました。そのため、画面デザインは物品に記録・表示されたものしか保護されず、建物(不動産)や店舗の内装は意匠登録の対象外でした。

2020年4月1日以降の出願では、次のデザインも意匠登録の対象です。

  • 画像:物品に記録・表示されているかどうかを問わず、機器の操作に使われる画像や、機器の機能を発揮した結果として表示される画像
  • 建築物:土地に定着した建物などの不動産
  • 内装:店舗・事務所などの施設の内部の設備や装飾で、全体として統一的な美感を起こさせるもの

同じ改正で、意匠権の存続期間も出願日から25年に延び、関連意匠制度も拡充されています。

特許庁の公表資料によると、2026年10月1日時点で、画像に関する意匠登録出願は8,546件、建築物は2,310件、内装は1,561件となっています(特許庁による統計上の分類で、審査中の出願も含みます)。制度は着実に使われ始めています。

画像の意匠:登録できるもの・できないもの

画像の意匠で大切なのは、「その画像が機器の機能と関係しているか」という点です。

区分 具体例
登録対象になり得る アプリやWebサービスの操作画面(GUI)、アイコン、メニュー画面、機器の状態を示す表示画面、壁や床に投影される操作用の画像、サーバーから提供されて表示される画像
登録対象にならない 機器の機能と関係のない画像(装飾的な壁紙など)、映画やゲームなどのコンテンツの画像

改正前は、スマートフォンなどの物品に記録された画像でなければ保護されませんでした。現在は、クラウドから提供される画面や、プロジェクターで投影される操作画像なども対象です。

例えば、予約アプリの操作画面、ECサイトの購入手続画面、スマート家電の設定画面、車載機器のメーター表示などは、デザインに工夫があれば意匠登録を検討する価値があります。特に、使いやすさを追求して作り込んだ画面ほど、競合に真似されやすいものです。画面デザインは開発コストがかかる一方で、公開後はすぐにコピーできてしまうため、リリース前に「どの画面を守るか」を決めておくことをおすすめします。

画像の意匠出願の実務ポイント

  • 画像の用途を明確にする:どのような機能のための画像かを、願書と図面から分かるようにする必要があります。
  • 部分意匠の活用:画面全体ではなく、特徴的なボタン配置やアイコン部分だけを部分意匠として出すと、画面の他の部分を変えた模倣にも対応しやすくなります。
  • 変化する画像:操作に伴って画面が切り替わるアニメーションなども、一連の変化として出願できる場合があります。
  • リリース前の出願:アプリは公開と同時に世界中から見られます。リリース前の出願が原則です。

建築物の意匠:どんな建物が対象か

建築物の意匠は、店舗、オフィスビル、住宅などの建物の外観デザインを保護します。特徴的な外観で集客している店舗チェーンや、デザイン性の高い規格住宅を展開する事業者にとって、新しい選択肢になります。

建築物の意匠で気をつけたいこと

  • 完成・公開前に出願する:建物は建てた瞬間から誰でも見られます。完成予想図の公開や内覧会の前に出願するのが理想です。
  • ありふれた形状は難しい:一般的な形の建物は、新規性や創作非容易性で登録が難しくなります。特徴がどこにあるかの見極めが重要です。
  • 図面の準備:設計図面や3Dデータをもとに、意匠登録用の図面を作成します。

内装の意匠:「統一的な美感」が要件

内装の意匠は、店舗、事務所、ホテルの客室など、施設の内部のデザインを保護します。家具・什器・壁・床・照明など複数の要素で構成されていても、内装全体として統一的な美感を起こさせるものであれば、1つの意匠として登録を受けられます。

例えば、ブランドの世界観を表現した店舗内装を、他社にそっくり真似されてしまうケースがあります。これまでは不正競争防止法や著作権で争うしかなかった場面でも、内装の意匠登録があれば、登録された権利に基づいて対応しやすくなります。

内装の意匠出願の実務ポイント

  • 統一感の説明:個々の家具の寄せ集めではなく、全体としてまとまったデザインであることが図面から伝わるようにします。
  • どこまで含めるか:要素を増やすほど特定はされますが、模倣品がどれか1つを変えれば外れやすくなります。権利範囲とのバランスが重要です。
  • オープン前の出願:内覧会、プレス発表、SNSでの紹介の前に出願しましょう。

公開してしまった場合:新規性喪失の例外(1年)

意匠は、出願前に公開されると原則として新規性を失い、登録できなくなります。ただし、自分で公開した場合には新規性喪失の例外を使える可能性があります。

新規性喪失の例外のポイント

  • 期間:公開日から1年以内に出願すること
  • 主張:出願と同時に例外の適用を主張すること
  • 証明書:出願日から30日以内に、公開の事実を証明する書面を提出すること

ただし、例外はあくまで救済措置です。公開から出願までの間に第三者が似たデザインを出願・公開すると、登録できなくなるおそれがあります。アプリのリリース、店舗のオープン、建物の竣工は公開の規模が大きいので、できる限り公開前に出願してください。

意匠・著作権・商標・不正競争防止法の使い分け

「著作権や不正競争防止法で守れるなら、意匠登録までは要らないのでは?」というご質問もよくいただきます。それぞれ役割が違います。

  • 意匠権:登録された権利で、登録意匠と同一・類似の範囲に効力が及びます。相手が真似したこと(依拠)を証明する必要がなく、出願日から最長25年存続します。
  • 著作権:登録なしで発生しますが、機能的な画面レイアウトや建築物、店舗の内装が「著作物」として保護されるかは判断が難しく、相手が真似したことの立証も必要です。
  • 不正競争防止法:デザインが周知・著名になっていることなどが求められる場面が多く、オープン直後や新サービスの開始直後には使いにくいことがあります。
  • 商標権:名称やロゴなどの出所表示を守るもので、画面や空間の見た目そのものを守る制度ではありません。

新しい画面デザインや店舗コンセプトを最初から確実に守りたい場合、意匠登録は最も見通しの立てやすい方法です。ブランド名の商標登録と組み合わせると、より効果的です。

ご相談前に準備していただきたい資料

  • 画像の場合:各画面のキャプチャやデザインデータ、画面が切り替わる順番、各画面でユーザーが何をするのかの簡単な説明
  • 建築物の場合:立面図・平面図・3Dモデルなどと、特徴だと考えている部分のメモ
  • 内装の場合:複数の角度からのパースや写真と、コンセプトを構成する要素(カウンター、棚、照明、壁の仕上げなど)の一覧
  • 共通:これまでに公開した日付と場所(Webサイト、SNS、展示会、内覧会など)

費用の目安(特許庁費用)

画像・建築物・内装の意匠も、特許庁費用は通常の意匠と同じです。出願料は1意匠16,000円、登録料は第1〜3年が毎年8,500円、第4〜25年が毎年16,900円(登録時は第1年分のみの納付で可)です。公開のタイミングを遅らせたい場合は、5,100円で秘密意匠を請求でき、登録から最長3年間、意匠の内容を秘密にできます。

図面の作り方(写真、3D-CADデータ、画面キャプチャなど)によって準備の手間が変わるため、弁理士の手数料は案件ごとにお見積りします。

よくある質問

  • Q. Webサイトのデザインも意匠登録できますか?
    A. 操作のための画像(ボタンやメニュー画面など)であれば対象になり得ます。単なる装飾や記事・映像などのコンテンツは対象外です。
  • Q. ゲームの画面は登録できますか?
    A. ゲームのコンテンツ自体は対象外です。ただし、メニューや設定画面など、操作のための画像は対象になり得ます。
  • Q. すでにオープンした店舗の内装は登録できますか?
    A. オープンから1年以内で、新規性喪失の例外の要件を満たせば可能性があります。1年を過ぎている場合は原則として難しいです。
  • Q. 2020年3月以前に出願した画面デザインにも新しいルールが適用されますか?
    A. 画像・建築物・内装の保護は、2020年4月1日以降の出願が対象です。

まとめ

  • 2020年4月の改正で、画像、建築物、内装が意匠登録の対象になりました。
  • 画像は、機器の操作や機能に関係するものが対象で、壁紙や映画・ゲームのコンテンツは対象外です。
  • 内装は、全体として統一的な美感を起こさせることが要件です。
  • 公開後でも1年以内なら新規性喪失の例外を使える場合がありますが、公開前の出願が原則です。
  • 特許庁の出願料は通常の意匠と同じ1意匠16,000円です。

画面デザインや店舗の内装、建物のデザインを守れるか知りたい方は、資料を添えてお気軽にご相談ください。特許事務所BrandAgentでは、弁理士本人が全ての案件を担当します。

※これまで1,000件以上の特許サポートの実績を持つ代表弁理士の叶野が、すべての案件を直接担当いたします。

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  • この記事を書いた人

叶野徹

弁理士 叶野徹 京都を拠点とする「BrandAgent特許事務所」代表。 これまで累計4,000件以上の商標案件に携わってきた商標・特許の専門家。 プロスポーツチーム『滋賀レイラックFC』様の公式マスコット(うーまくん)の商標登録を担当するなど、複雑なキャラクターIPやAmazonブランド申請のためのロゴの権利保護において高い実績を持つ。 最新のAI技術と豊富な実務経験を掛け合わせ、京都・滋賀をはじめ全国の経営者様のブランドを最短ルートで守る盾となります。

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