
こうした疑問にお答えします。
意匠登録は、商品の形状・模様・色彩といった「見た目」を守るための制度です。特許に比べて費用を抑えやすく、模倣品対策としても使いやすいため、中小企業や個人のメーカー、ネット通販の事業者の方からのご相談も多くいただいています。
この記事では、特許事務所BrandAgentの弁理士・叶野徹が、意匠登録にかかる特許庁の費用(出願料・登録料)と、25年間権利を維持した場合の総額、複数のデザインをまとめて出願する場合の考え方などを解説します。
※特許庁の料金は2026年11月時点のものです。最新の金額は特許庁の料金一覧でご確認ください。
この記事でわかること
- 意匠登録にかかる費用の内訳
- 特許庁に納める出願料と登録料の金額
- 1年〜25年維持した場合の特許庁費用の累計
- 複数意匠一括出願・秘密意匠の費用
- 専門家費用が変わるポイントと、費用を抑えるコツ
意匠登録にかかる費用の内訳
意匠登録にかかる費用は、大きく分けて次の3つです。
- 特許庁に納める費用:出願時の出願料と、登録時・登録後に納める登録料。法律で決まっており、誰が出願しても同じ金額です。
- 図面の作成:意匠登録では図面が権利範囲そのものになるため、要件を満たした図面を用意する必要があります。
- 弁理士に依頼する場合の費用:出願手続、拒絶理由通知への対応、登録料の納付などの費用です。
図面の作成や弁理士の費用は、商品の形状の複雑さや出願するデザインの数によって変わるため、案件ごとのお見積りになります。この記事では、まず金額が明確な特許庁の費用を中心に解説します。
特許庁に納める意匠の料金
意匠の特許庁料金(現行)
- 出願料:1意匠につき16,000円
- 登録料(第1年〜第3年):毎年8,500円
- 登録料(第4年〜第25年):毎年16,900円
- 秘密意匠の請求(任意):5,100円
特許と大きく違うのは、審査請求が不要という点です。特許では出願とは別に審査請求をして審査請求料を納める必要がありますが、意匠は出願すると自動的に実体審査(新規性・創作非容易性など)が始まります。そのため、審査のための追加の特許庁費用はかかりません。
審査の結果、登録査定が届いたら、その謄本を受け取ってから30日以内に登録料を納めます。このとき納付が必要なのは第1年分だけで、数年分をまとめて納めることもできます。2年目以降は、毎年、次の年の分を前払いする形で権利を維持していきます。
何年維持するといくら?特許庁費用の累計
2020年4月1日以降の出願では、意匠権の存続期間は出願日から最長25年です。1意匠について、出願料と登録料を合わせた特許庁費用の累計は次のとおりです(弁理士費用・図面作成費は含みません)。
| 維持する年数 | 出願料 | 登録料の合計 | 合計(円) |
|---|---|---|---|
| 1年 | 16,000 | 8,500 | 24,500 |
| 3年 | 16,000 | 25,500 | 41,500 |
| 5年 | 16,000 | 59,300 | 75,300 |
| 10年 | 16,000 | 143,800 | 159,800 |
| 15年 | 16,000 | 228,300 | 244,300 |
| 20年 | 16,000 | 312,800 | 328,800 |
| 25年(最長) | 16,000 | 397,300 | 413,300 |
※登録料は「8,500円×3年+16,900円×4年目以降の年数」で計算しています。存続期間は出願日から数えるため、審査にかかった期間も25年の中に含まれます。実際に登録料を納める年数は25年より短くなります。
つまり、意匠登録を取るための特許庁費用は、最低24,500円(出願料+第1年分の登録料)です。商品のライフサイクルが数年程度のことも多いので、最初は数年分だけ納め、その後は毎年「まだ守る価値があるか」を見直す、という進め方が一般的です。
複数のデザインをまとめて出願する場合(複数意匠一括出願)
2021年4月から、複数意匠一括出願という制度が使えるようになりました。1つの願書で最大100意匠までまとめて出願できるため、シリーズ商品やカラーバリエーション、セットで展開する商品などの手続が楽になります。
ただし、特許庁の費用が安くなるわけではありません。出願料は1意匠ごとに16,000円で、審査も登録も意匠ごとに行われ、登録料もそれぞれ必要です。たとえば3意匠をまとめて出願すると出願料は48,000円になり、登録後は3件それぞれの登録料を納めます。メリットは手続の手間が減ることと、登録後に意匠ごとに維持・放棄を判断できることです。
| 意匠の数 | 出願料 | 出願料+第1〜3年分(円) |
|---|---|---|
| 1意匠 | 16,000 | 41,500 |
| 3意匠 | 48,000 | 124,500 |
| 5意匠 | 80,000 | 207,500 |
※特許庁費用のみ。すべて登録され、第1〜3年分を納めた場合の金額です。
なお、似たデザインのバリエーションを守りたい場合は、一括出願とは別に「関連意匠」という制度を使う方法もあります。どちらが適しているかは商品の展開の仕方によって変わりますので、出願前にご相談ください。
発売前に公開されたくない場合(秘密意匠)
意匠登録されると、通常は登録後まもなく意匠公報に掲載され、デザインが公開されます。発売までまだ時間がある場合、公報を通じて競合他社に新商品の情報が知られてしまうおそれがあります。
そこで使えるのが秘密意匠の請求です(特許庁料金5,100円)。登録日から最長3年間、デザインの内容を秘密にしておくことができます。出願日を早く確保したいけれど、発売までは公開したくない、という場合に有効です。
ただし、秘密意匠の権利を行使する際には、登録内容を証明する書面を示して警告する必要があるなど、通常より手続が増えます。本当に秘密にする必要がある場合に絞って使うのがおすすめです。
秘密意匠の請求は、出願と同時にするか、第1年分の登録料を納付するときにすることができます。発売日が未定の段階で出願する場合は、出願時点で秘密にするかどうかを一緒に検討しておくと安心です。
出願前に自分で公開してしまった場合
意匠登録には新規性が必要です。SNSや展示会、クラウドファンディングなどで先に商品を公開してしまった場合でも、公開から1年以内に出願し、出願時に新規性喪失の例外の適用を主張して、出願から30日以内に証明書を提出すれば、救済を受けられる可能性があります。手続を一つでも落とすと登録できなくなるおそれがあるため、公開済みの場合は必ず出願前にお知らせください。
自分で出願する場合と弁理士に依頼する場合
日本国内に住所がある方であれば、弁理士に依頼せずにご自身で出願することもできます。その場合、かかるのは特許庁の費用だけです。
ただ、意匠登録では図面が権利範囲を決めます。図面同士の食い違いや、不鮮明な表現があると拒絶理由になりやすく、登録できても思ったより狭い権利になってしまうことがあります。また、商品のどの部分を守るか(全体か部分か)、バリエーションをどう押さえるかといった戦略面の判断も必要です。費用を抑えつつ確実に権利を取りたい場合は、少なくとも出願前に一度専門家に相談されることをおすすめします。
弁理士費用が変わるポイントと費用を抑えるコツ
弁理士費用は案件によって異なるため、ここでは金額ではなく、費用が変わる主な要素をご紹介します。
- 意匠の数:デザインごとに図面が必要で、審査も別々に行われます。
- 図面の準備状況:3D CADのデータや各方向からの図がすでにあれば作業は少なくなります。写真や現物から図面を起こす場合は作業が増えます。
- 保護の方法:部分意匠(特徴的な部分だけを守る)や関連意匠(バリエーションを守る)を使う場合は、出願の設計に手間がかかります。
- 拒絶理由通知への対応:意見書や補正書の提出に特許庁費用はかかりませんが、弁理士の作業が必要です。
費用を抑えるコツ
- 素材をしっかり用意する:3D CADデータや各方向からの鮮明な写真があると、図面作成の手間と、図面不備による拒絶のリスクが減ります。
- 守るデザインを絞る:すべてのバリエーションではなく、売れ筋や模倣されやすいデザインを優先します。
- 登録料は柔軟に:登録時は最初の数年分だけ納め、その後は意匠ごとに価値を見直します。
- 公開前に出願する:新規性喪失の例外に頼ると、手続とリスクが増えます。
BrandAgentでは、累計4,000件超の出願実績があり、ご相談から出願、中間対応、登録まで、すべて弁理士本人が担当しています。お見積りは無料ですので、お気軽にお問い合わせください。
よくある質問
- Q. 意匠登録にかかる特許庁の費用は最低いくらですか?
A. 1意匠につき24,500円です(出願料16,000円+第1年分の登録料8,500円)。弁理士費用や図面作成費は別途かかります。 - Q. 特許のような審査請求料は必要ですか?
A. 不要です。意匠は出願すると自動的に審査が始まります。 - Q. 複数意匠一括出願にすると安くなりますか?
A. 特許庁の費用は安くなりません。出願料は1意匠ごとに16,000円で、登録料も意匠ごとに必要です。最大100意匠までまとめて手続できるのがメリットです。 - Q. 意匠権は何年続きますか?
A. 2020年4月1日以降の出願であれば、登録料を納め続ける限り、出願日から最長25年です。 - Q. 審査にはどれくらいかかりますか?
A. 最初の審査結果が届くまで、出願からおおむね6〜12か月程度かかることが多いです。
まとめ
- 特許庁の料金は、出願料が1意匠16,000円、登録料が第1〜3年は毎年8,500円、第4〜25年は毎年16,900円です。
- 登録までの特許庁費用は最低24,500円、25年間維持した場合の合計は1意匠413,300円です。
- 意匠は審査請求が不要で、出願すると自動的に審査が始まります。
- 複数意匠一括出願(最大100意匠)は手続をまとめられますが、特許庁費用は意匠ごとにかかります。
- 発売前に公開されたくない場合は、秘密意匠(5,100円、最長3年)を検討します。
意匠登録の費用や進め方でお悩みの方は、特許事務所BrandAgentまでお気軽にご相談ください。
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