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Amazonの模倣品を意匠権で削除する方法|意匠・商標・著作権の違いと実務の手順を弁理士が解説

悩んでいる方
Amazonで自社製品とそっくりな形の商品が安く売られています。ロゴは違うので商標では止められないと言われましたが、何か手はありますか?

こうした疑問にお答えします。

自社で企画した雑貨や家電、アクセサリーがAmazonで売れ始めると、しばらくして「形はそっくり、ブランド名だけ違う」商品が並ぶ――。物販を手がける中小企業やメーカー、EC事業者の方から、非常によく伺うお悩みです。

ブランド名やロゴを守るのは商標権ですが、製品の「形」そのものを守るのは主に意匠権です。本記事では、累計4,000件超の出願を扱ってきた特許事務所BrandAgentの弁理士・叶野徹が、意匠権を使ってAmazonなどのモールで模倣品に対応する考え方と、事前に準備しておくべきことを解説します。

※特許庁の料金・制度は2026年11月時点の情報です。Amazonなどモールの申告手続は頻繁に変わるため、最新の内容は各モールの公式ヘルプでご確認ください。

この記事で分かること

  • 製品の形の模倣に、意匠・商標・著作権・不正競争防止法のどれが使えるか
  • 意匠権がモールでの模倣品対応に向いている理由と限界
  • 出願のタイミングと、部分意匠・関連意匠の活用
  • Amazonなどで侵害を申告するまでの実務の流れ
  • 特許庁に支払う意匠の費用

「ロゴが違う模倣品」は商標権では止めにくい

商標権は、商品名やロゴといった「目印」を守る権利です。模倣品が自社のブランド名やロゴをそのまま使っていれば、商標権で対応しやすくなります。しかし、最近の模倣品は別のブランド名を付け、形やデザインだけをまねるケースが少なくありません。この場合、商標権だけでは止められないことが多いのです。

そこで検討したいのが意匠権です。意匠法では、意匠権者は登録意匠及びこれに類似する意匠を業として実施する権利を専有すると定められています(意匠法23条)。つまり、ブランド名が違っても、形が登録意匠と同一・類似であれば、意匠権の侵害を主張できる可能性があります。

製品の形を守る4つの手段の比較

製品の形の模倣に対して使える可能性がある手段は、主に次の4つです。

手段 守るもの 形の模倣への使いやすさ 注意点
意匠権 製品の形状・模様・色彩 ◎ 類似の形まで及ぶ 登録が必要。発売前の出願が原則
商標権 商品名・ロゴ(立体商標もあり) △ ロゴが違うと使いにくい 製品の形そのものの立体商標は登録のハードルが高い
著作権 創作的な表現 △ 実用品は認められにくい 量産品の形に著作権が認められるかは不確実
不正競争防止法(形態模倣) 他人の商品の形態 ○ デッドコピーに有効 国内で最初に販売されてから3年間のみ。登録制度ではない

商標権(立体商標)

日本では立体的な形状も商標登録できますが、商品の形状そのものは「その商品の形を普通に表したもの」と判断されやすく、長年の使用で広く知られるようになった場合などを除き、登録は簡単ではありません。新製品の形を守る手段としては現実的でないことが多いでしょう。

著作権

著作権は登録なしで発生する点が魅力ですが、量産される実用品の形について著作物性が認められるかは事案ごとの判断で、見通しが立ちにくいのが実情です。モールに申告する場合も、「著作物である」ことの説明が難しく、権利の根拠として弱くなりがちです。

不正競争防止法(商品形態の模倣)

他人の商品の形態をそのまままねた商品(いわゆるデッドコピー)の販売は、登録がなくても不正競争に当たり得ます。ただし保護されるのは日本国内で最初に販売された日から3年間に限られ、「実質的に同一」といえるほどの模倣でなければ対象になりにくいとされています。なお、令和5年の改正(2024年4月1日施行)で、デジタル空間で他人の商品形態を模倣した商品を提供する行為も対象に加わりました。

登録がない段階での応急手段にはなりますが、モールへの申告で「登録番号」を示せる意匠権に比べると、根拠を説明する負担は大きくなります。

意匠権がモールでの模倣品対応に向いている理由

意匠権がAmazonなどでの模倣品対応に使いやすいのは、次のような理由からです。

  • 権利の存在と範囲が公的に確認できる:登録番号と意匠公報の図面があるため、モールの担当者にも権利を示しやすくなります。
  • 類似の形にも及ぶ:完全なコピーでなくても、需要者の視覚を通じて起こさせる美感が共通していれば侵害を主張できる可能性があります(意匠法24条2項)。
  • 期間が長い:2020年4月1日以降の出願なら、存続期間は出願日から最長25年です。不正競争防止法の3年とは大きな差があります。
  • 税関でも使える:意匠権は税関への輸入差止申立ての対象です。2022年10月1日からは、海外の事業者が日本の個人に送る意匠権・商標権侵害品も輸入してはならない貨物となり、税関で没収の対象になりました。

意匠権の限界も知っておきましょう


意匠権は設定の登録によって発生します(意匠法20条1項)。出願しただけの段階では、模倣品を止める権利はありません。また、モールは裁判所ではないため、「似ているかどうか」の判断が微妙な事案では申告が通らないことがあります。明らかに同じ形の商品ほど対応しやすく、微妙な事案は警告書や訴訟も視野に入れる必要があります。

いつ出願すべきか──発売前が原則

意匠登録には新規性が必要です。自社の製品であっても、発売やSNS・クラウドファンディングで公開した後に出願すると、原則として登録を受けられません。発売前・公開前の出願が鉄則です。

公開してしまった場合でも、公開から1年以内であれば新規性喪失の例外の適用を受けられる可能性があります。ただし、出願時の主張と、出願から30日以内の証明書提出が必要です。また、例外の手続をしていても、その間に第三者が先に出願・公開した意匠には対抗できない場合があるため、あくまで「救済策」と考えてください。

なお、意匠は出願すると審査請求なしで自動的に審査が始まり、最初の結果が出るまで、おおむね6か月〜1年程度かかることが多いです。売れ筋になってから慌てて出願しても、模倣品が出回る時期に間に合わないことがあります。

部分意匠・関連意匠で「少し変えた模倣品」に備える

模倣品の中には、特徴的な部分だけをまねて全体の形を少し変えたものもあります。製品全体の形だけで登録していると、こうした模倣品に「全体としては似ていない」と反論されることがあります。

  • 部分意匠:持ち手、ボタン配置、表面の模様など、製品の特徴的な「部分」を権利にできます。全体の形を変えられても、特徴部分が共通していれば主張しやすくなります。
  • 関連意匠:本意匠に類似するバリエーションを、本意匠の出願日から10年以内であれば登録できます。色違い・サイズ違い・派生モデルを押さえ、権利の幅を広げられます。

「全体意匠+部分意匠」の2件で出願しておくと、モールでの模倣品対応がかなり楽になるケースが多いです。

Amazonなどで侵害を申告するまでの流れ

意匠登録後、モールで模倣品を見つけたときの一般的な流れは次のとおりです。具体的なフォームや入力項目は変更されることが多いため、申告の際は各モールの最新の出品者向けガイドラインや権利者向けヘルプを必ず確認してください。

実務の流れ

  • 1. 権利情報をそろえる:意匠登録番号、意匠公報(図面)、権利者名。権利者名がモール上の申告者と違う場合は、関係を説明できる資料も用意します。
  • 2. 証拠を保存する:商品ページのURL・商品識別番号(AmazonならASIN)・出品者名・価格を、日付が分かる形でスクリーンショット保存。可能なら試買して現物も確保します。
  • 3. 類否を整理する:登録意匠の図面と模倣品の写真を並べ、共通する特徴を説明できるようにします。微妙な事案は申告前に弁理士の意見を聞くのが安全です。
  • 4. モールに申告する:Amazonでは、権利者向けの知的財産権侵害の申告手続が用意されています。ブランド登録(Brand Registry)に参加しているブランドは、その中の申告ツールから報告することもできます。
  • 5. 削除されない・再出品された場合:出品者への警告書、税関への輸入差止申立て、差止請求訴訟などを検討します。

楽天市場、Yahoo!ショッピング、Qoo10などのモールにも、権利者からの申告を受け付ける窓口が設けられていることが一般的です。ただし、受け付ける権利の種類や必要書類はモールごとに異なりますので、最新の案内に従ってください。

根拠のない申告は逆にリスクになる

意匠の範囲外の商品や、自社の登録前から販売されていた商品について申告すると、相手方から損害賠償などを求められるおそれがあります。モールのアカウントにも影響しかねません。「似ている気がする」程度の段階では、申告前に専門家に相談することをおすすめします。

特許庁に支払う意匠の費用

意匠登録の特許庁費用は次のとおりです(2026年11月時点)。

項目 特許庁費用
出願料 1意匠につき16,000円
登録料(第1〜3年) 毎年8,500円
登録料(第4〜25年) 毎年16,900円

登録時に納付が必要なのは第1年分のみで、1意匠なら出願から登録までの特許庁費用は24,500円です。全体意匠と部分意匠の2件にすれば、その2倍になります。弁理士の代理費は案件によって異なりますので、無料のお見積りをご依頼ください。最新の料金は特許庁の料金一覧でご確認いただけます。

よくある質問

  • Q. 出願中の意匠で、Amazonに申告できますか?
    A. 意匠権は登録によって発生するため、出願中の段階では権利に基づく申告はできません。発売から3年以内のデッドコピーであれば、不正競争防止法による対応を検討する余地があります。
  • Q. すでに販売している製品でも意匠登録できますか?
    A. 公開から1年以内なら、新規性喪失の例外を使って出願できる可能性があります。1年を過ぎていると原則として登録できませんが、新しいモデルやバリエーションの出願を検討しましょう。
  • Q. 色だけ違う模倣品にも意匠権は使えますか?
    A. 登録の内容と模倣品の具体的な形によります。形状が共通していれば類似と判断される可能性がありますが、出願時に色彩をどう扱うかで権利の範囲が変わるため、出願前のご相談をおすすめします。
  • Q. 中国から直接発送される模倣品にも対応できますか?
    A. モールでの申告に加え、意匠権に基づく税関への輸入差止申立てが可能です。申立てに税関の手数料はかかりません。
  • Q. 意匠と商標、どちらを優先すべきですか?
    A. 形をまねられるリスクが高い製品は意匠、ブランド名を守りたい場合は商標です。モールでの販売を本格化するなら、両方を備えておくのが理想です。

まとめ

  • ロゴを変えて形だけまねた模倣品は、商標権では止めにくく、意匠権が有力な手段になります。
  • 意匠権は類似の形まで及び、出願日から最長25年。不正競争防止法の形態模倣は販売開始から3年に限られます。
  • 意匠権は登録で発生するため、発売前の出願が鉄則です。
  • 部分意匠・関連意匠を組み合わせると、少し変えた模倣品にも対応しやすくなります。
  • モールの申告手続は頻繁に変わるため、最新のガイドラインを確認し、微妙な事案は専門家に相談しましょう。

Amazonでの模倣品にお困りの方、これから発売する製品の形を守りたい方は、製品の写真や図面をお送りください。特許事務所BrandAgentでは、弁理士本人が全ての案件を担当し、最適な出願プランをご提案します。

※これまで1,000件以上の特許サポートの実績を持つ代表弁理士の叶野が、すべての案件を直接担当いたします。

お一人お一人に割ける時間に限りがあるため、本気で出願・防衛を検討されている企業様限定の窓口とさせていただいております。

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  • この記事を書いた人

叶野徹

弁理士 叶野徹 京都を拠点とする「BrandAgent特許事務所」代表。 これまで累計4,000件以上の商標案件に携わってきた商標・特許の専門家。 プロスポーツチーム『滋賀レイラックFC』様の公式マスコット(うーまくん)の商標登録を担当するなど、複雑なキャラクターIPやAmazonブランド申請のためのロゴの権利保護において高い実績を持つ。 最新のAI技術と豊富な実務経験を掛け合わせ、京都・滋賀をはじめ全国の経営者様のブランドを最短ルートで守る盾となります。

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