
こうした不安に、弁理士がわかりやすくお答えします。
特許侵害は、ビジネスを進めるうえで誰もが一度は気になるテーマです。「侵害のラインはどこからなのか」「もし警告書が届いたらどうすればいいのか」——本記事では、特許侵害の判断基準、侵害してしまったときのリスク、侵害を防ぐ対策、そして警告を受けた場合の初期対応まで、会話形式でやさしく解説します。
- 特許侵害は、原則として「対象物が特許請求の範囲の構成要件をすべて満たすか」で判断されます。
- 厳密に満たさなくても「均等侵害」「間接侵害」に当たる場合があり、自社だけの判断は危険です。
- 侵害は「知らなかった」では免責されません。事前の特許調査と、相談できる弁理士の確保がカギです。
特許侵害って何?



特許権が生じている発明は、権利者(または正式にライセンスを受けた人)だけが適法に実施できる。これ以外の人が無断で実施すると、特許権侵害になるんだよ。


他者の特許権を侵害するとどうなる?



特許権侵害で生じ得る主なリスク
- 差止請求:侵害行為の停止に加え、侵害に使った設備の除却など予防措置を求められることもあります。
- 損害賠償請求:侵害で生じた損害の賠償を求められます。特許法では侵害行為があれば過失が推定されるため(特許法103条)、権利者側の立証ハードルが低いのが特徴です。
- 信用回復措置請求:相手の業務上の信用が害された場合、新聞への謝罪広告掲載などを求められることがあります。
- 刑事罰(故意の場合):原則10年以下の懲役または1,000万円以下の罰金など(特許法196条)。法人の業務として行われた場合は、法人にも3億円以下の罰金が科され得ます(同201条)。


特許侵害はどこから?基本の3要件



特許権侵害の基本3要件
- 自社が実施権を有していないこと:自社が特許権者である場合や、ライセンス契約の範囲内で実施している場合は侵害になりません。
- 特許発明を「実施」すること:物の発明なら生産・使用・譲渡・輸出入など、方法の発明ならその方法の使用など、特許法2条3項で「実施」が広く定義されています。特許請求の範囲外であれば侵害にはあたりません。
- 事業として行ったこと:特許法の目的は「産業の発達」(同1条)。個人的な趣味での実施は侵害にあたりません。


知っておきたい「侵害の3分類」



① 直接侵害
対象物が、特許請求の範囲に文言で表された構成要件をすべて充足する侵害形態です。たとえば特許発明が「A・B・C」の3要件からなる場合、対象物が「A・B・C」をすべて備えていれば直接侵害。これが侵害の基本形です。
② 均等侵害
構成要件を厳密には満たさなくても、実質的に同一の発明の実施と評価できる場合の侵害形態です。「A・B・C」を「A・B'・C」のように本質的でない部分だけ少し変えても侵害を免れられる、とすると権利者に酷だからです。
最高裁平成10年2月24日判決により、次の5要件をすべて満たす場合に均等侵害が成立するとされています。
均等侵害の成立要件(最高裁平成10年2月24日判決)
- 異なる部分が特許発明の本質的部分ではないこと
- 置き換えても発明の目的を達成でき、同一の作用効果を奏すること
- その置き換えが、当業者にとって製造等の時点で容易に想到できたこと
- 対象物が出願時の公知技術と同一でなく、当業者が容易に推考できたものでもないこと
- 対象物が、出願手続で意識的に特許請求の範囲から除外されたものに当たる等の特段の事情がないこと
③ 間接侵害
直接侵害そのものではないものの、侵害を誘発する可能性が高い行為を「侵害とみなす」ものです(特許法101条)。たとえば、その物の生産にのみ用いる部品を業として製造・譲渡する行為や、課題解決に不可欠な物を侵害に使われると知りながら供給する行為などが該当します。「部品だから大丈夫」とは限らない、という点に注意が必要です。
※これまで1,000件以上の特許サポートの実績を持つ代表弁理士の叶野が、すべての案件を直接担当いたします。
お一人お一人に割ける時間に限りがあるため、本気で出願・防衛を検討されている企業様限定の窓口とさせていただいております。
特許侵害の有無は、どう調べる?



特許侵害の調査ステップ
- 特許公報を入手する:出願は出願から1年6か月後に「公開特許公報」で公開され、特許になった発明は「特許掲載公報」で公開されます。J-PlatPat(特許情報プラットフォーム)などで検索できます。
- 技術的範囲を確定する:特許公報の「特許請求の範囲」を読み込み、必要に応じて明細書や図面も参照して、権利の範囲を解釈します。
- 侵害の有無を検討する:自社製品が技術的範囲に含まれるかを、直接侵害・均等侵害・間接侵害の観点から検討します。


他者の特許を侵害しないための対策



特許侵害を防ぐための対策
- 特許調査を徹底する:研究開発の方向性を決める段階や商品化の段階で調査を行い、侵害リスクを最小化します。無駄な「車輪の再発明」を避ける効果もあります。
- 出願された特許を定期的に確認する:開発前に調査しても、その後に関連特許が他社に出願されることはあり得ます。注目分野は新規出願に日々目を通すのが理想です。
- 相談しやすい弁理士を見つけておく:「かかりつけ医」のように相談できる弁理士がいれば、不安が生じた際にすぐアドバイスを受けられ、調査や出願の代理も任せられます。
特許侵害の警告が届いたら?初期対応



警告書が届いたときの初動
- 早期に専門家へ相談する:安易に回答する前に、まずは日ごろ相談している弁理士へ連絡を。弁理士は知財に強い弁護士と連携していることが多く、必要に応じてつないでくれます。
- 侵害の有無を確認する:実際に侵害している場合もあれば、相手方の勘違いや言いがかりの場合もあります。弁理士とともに冷静に確認します。
- 侵害の可能性があれば直ちに実施を取りやめる:警告後も実施を続けると、故意とみなされ刑事罰の対象となるおそれが生じます。回答書の送付も検討します。
- 相手の権利の無効化を検討する:相手の特許がそもそも無効なら法的措置の対象になりません。たとえば出願前に公知だった証拠を集められれば、無効化できる可能性があります。


無料相談について(重要)
BrandAgentの特許に関する無料相談は、法人(中小企業・スタートアップ・製造業等)の方を対象としております。個人の方のご相談は有料相談となりますので、あらかじめご了承ください。
まとめ

特許侵害は、原則として対象物が特許請求の範囲の構成要件をすべて満たすかで判断されます。ただし、厳密に満たさなくても均等侵害や間接侵害に当たる場合があり、自社だけで正確に判断するのは容易ではありません。
侵害は「知らなかった」では免責されないからこそ、事前の特許調査を徹底し、相談しやすい弁理士を確保しておくことが、ビジネスを守る最善策です。
特許事務所BrandAgentでは、これまで1,000件以上の特許をサポートしてきた実績をもとに、侵害予防のための特許調査はもちろん、「自社製品が他社特許を侵害していないか」「相手の警告は妥当か」といった特許侵害の鑑定(侵害・非侵害の検討)も行っています。知財戦略を総合的に相談できる弁理士をお探しの法人様は、ぜひお気軽にご相談ください。
※これまで1,000件以上の特許サポートの実績を持つ代表弁理士の叶野が、すべての案件を直接担当いたします。
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