商標登録とは?区分・出願から登録までの流れ・費用も含めてプロが解説

「商標の登録流れを教えてほしい。

 商標登録したほうがよいのかな。

 商標登録をしないとどんなリスクがあるのだろう。

 あとは登録にかかる費用も知りたい。」

 こうした疑問に答えます。

 ビジネスを立ち上げたけど、法人名、商品名、ショップ名を含むサービス名は商標登録をしたらいいのか悩んでいる方もいると思います。

 これまでの人生で商標に触れ合う機会はほとんどなく、商標をとることに意味やとらないことのリスクなどよくわからないところが多いでしょう。

 とはいうものの、現在商標の出願件数は年々増加傾向にあり、これまで商標出願をしてこなかった企業・個人事業主が商標出願する傾向にあります。

 そこでこれから商標を登録しようと考えている方に参考となるように商標の基本的なところをまとめました。

1.商標とは

 そもそも商標とはどういうものをいうのでしょうか。

 商標法第2条第1項には、「この法律で『商標』とは、人の知覚によつて認識することができるもののうち、文字、図形、記号、立体的形状若しくは色彩又はこれらの結合、音その他政令で定めるもの(以下「標章」という。)であつて、・・・」と商標について定義されています。

 つまり、商標とは、文字(標準文字・ロゴ文字)・シンボルマーク・立体的形状・色彩・音のいずれかかこれらの組み合わせで構成されているものをいいます。

この中でも、標準文字(COFFEE BOYA)、ロゴ文字(フォント入りのCOFFEE BOYA)、シンボルマーク、シンボルマークとロゴ文字の組み合わせの4つのどれかで商標登録されることが多いです。

 標準文字、ロゴ文字、シンボルマーク、シンボルマークとロゴ文字の組み合わせのそれぞれの代表例はこちらです。

 

標準文字
登録番号「第5893980号」
ロゴ文字
登録番号「第5893980号」
シンボルマーク
登録番号「第6062348号」
シンボルマークとロゴ文字の組み合わせ
登録番号「第5565574号」
Previous
Next

 標準文字とは、「特許庁長官の指定する文字(商標法第5条第3項)」をいい、文字のみで構成されることをいいます(https://www.jpo.go.jp/system/laws/rule/guideline/trademark/syouhyou_5_3.html)。

 つまり、フォントや色を排除した単なる文字で構成されているものを標準文字といいます。

 これに対し、ロゴとは商標法で具体的に定義されていませんが、慣用的には文字にフォントや色をほどこしたものをいいます。

 シンボルマークはロゴと混合しやすいですが、慣用的には象徴する図形をいい、文字であるロゴとは区別されます。

 商標は、これらの単一から構成されていてもよいですし、これらを組み合わせたものでもかまいません。

 

ただし、商標出願では、「商標登録出願は、・・・商標ごとにしなければならない。(第6条第1項)」と規定されておりこれらの4つの商標を包括して1つの商標登録出願とすることはできません。

例えば、文字商標「グーグル」とロゴ商標「Google」をまとめて1つの商標登録出願とすることはできません。別々に商標出願する必要があります。

また別々に商標出願すると、その分特許庁費用(印紙代)も増えてきます。

じゃあ4つのうちどの商標を商標登録出願すればいいのか、という話になりますが、筆者はまずは標準文字を出願することをおすすめします。

文字商標とロゴ商標はどっちをとるべきか!?

結論から言うと〇〇です。

では商標登録出願では、これらの商標を指定すれば登録できるのでしょうか。

実はこれだけでは不十分です。

さらに商標を使用する区分と商品と役務を指定する必要があります。

2.商標登録の区分とは?指定商品・指定役務も含めて簡単に解説

 商標登録出願をする場合、「区分」と「指定商品」「指定役務」を特定する必要があります(商標法第5条第1項第3号)。

 「区分」とは、指定商品・指定役務がどの類に属するかを表すもので、願書には【第1類】というように記載します。

 「指定商品」とは、商標登録出願の願書に記載する商品であって、あなたが商標に使用する商品をいいます。

 例えば、ネットショップでコーヒー豆を販売するために使用する商標を登録したいなら、「コーヒー豆」が商品に該当します。

 「コーヒー豆」は「植物性食品」に該当しますから、区分は第30類に相当します。

 「指定役務」とは、商標登録出願の願書に記載する役務であって、あなたが商標に使用する役務をいいます。

 役務とは、サービスと解釈して問題ありません。

 例えば、お店でコーヒーを提供する喫茶店のロゴを商標登録したい場合、「コーヒーの提供」は役務(サービス)であり、「飲食業」に相当しますから、第43類に相当します。

 「指定商品」「指定役務」は上の区分の名称を書くのではなく、具体的にあなたが使用する商品名・役務名を特定します。

 商品名・役務名は、「類似商品・役務審査基準(国際分類第9版対応)https://www.jpo.go.jp/system/laws/rule/guideline/trademark/ruiji_kijun/ruiji_kijun9.html」に沿って書くことをおすすめします。

 これにより一発で登録されやすいことと、審査が速くすすむからです。

 ここで、第1~第45類まで区分がありますが、どれを選べばわからない場合、全部登録すればいいのかなと思うかもしれませんが、指定する区分が増えるごとに、出願手数料・登録納付料が増えてしまいます。

 そこで、あなたが実際に使用する商品・役務に該当する区分を選択することをおすすめします。

 区分の第1類から第45類までの商品・役務の代表例を以下に紹介します。

工業用、科学用又は農業用の化学品

塗料、着色料及び腐食の防止用の調製品

洗浄剤及び化粧品

工業用油、工業用油脂、燃料及び光剤

薬剤

卑金属及びその製品

加工機械、原動機等の機械

手動工具

科学用等の機械器具

医療用機械器具及び医療用品

照明用等の装置

乗物その他移動用の装置

火器及び火工品

貴金属、宝飾品及び時計等

紙、紙製品及び事務用品

電気絶縁用等のプラスチック

革、旅行用品等

金属製でない建築材料

家具、プラスチック製品等

家庭用又は台所用の手動式の器具等

ロープ製品、帆布製品等

織物用の糸

織物及び家庭用の織物製カバー

被服及び履物

裁縫用品

床敷物及び織物製でない壁掛け

がん具、遊戯用具及び運動用具

動物性の食品、加工した野菜等

加工した植物性の食品、調味料等

加工していない陸産物、生きている動植物及び飼料

アルコールを含有しない飲料及びビール

ビールを除くアルコール飲料

たばこ、喫煙用具及びマッチ

広告等

金融、保険及び不動産の取引

建設、設置工事及び修理

電気通信

輸送、こん包及び保管並びに旅行の手配

物品の加工その他の処理

教育、訓練、娯楽、スポーツ及び文化活動

科学技術又は産業に関する調査研究等

飲食物の提供及び宿泊施設の提供

医療、動物の治療、人又は動物に関する衛生等

冠婚葬祭に係る役務、警備、法律事務等

 以上のとおり、商標登録出願に必要な情報は、「商標」「区分」「指定商品(役務)」であり、願書にこれらの情報を入力します。

 ここで、日本の商標制度では1つの商標出願で複数の区分を指定することができます。(商標法第6条第1項)

 例えば、商標「COFFEE BOYA」をコーヒー豆の商品名と喫茶店の店名に使用する場合、第30類と第43類を1つの商標出願で指定することができます。

 

 ここで区分の検索のやり方や、区分が複数ある場合それぞれまとめて1つの出願にするべきかあるいは別個に出願するべきかなどについてはこちらの記事で解説しています。

商標の区分とは!?区分が違えば登録できるの?検索のやり方までわかりやすく解説

3.商標の登録流れを解説

1.出願

2.審査

3.審査結果

4.登録料納付

5.商標登録

商標の登録流れをわかりやすく解説

 商標登録出願をした後、特許庁により審査が行われます。

 出願後審査着手までの期間は10~14か月かかります(参考:商標審査着手状況(審査未着手案件)https://www.jpo.go.jp/system/trademark/shinsa/status/cyakusyu.html)

 もっと早く審査してもらえないの?と思うかもしれません。

 そういう方に早期審査制度とファストトラック制度があります。

 早期審査制度とファストトラック制度についてはこちらで解説しています。

商標の早期審査制度とファストトラック制度

 審査結果で合格すれば、登録査定があなたへ通知されます(商標法第16条)

 登録査定というと難しい表現ですが、要は合格したので登録できますよという意味です。

 しかし、多くの方が誤解しやすいのですが、これであなたの商標は登録できるわけではありません。

 次に、あなたは登録料を納付する必要があります(商標法第18条第2項)

 登録料の支払いは、登録納付書という書類に特許印紙をはりつけて特許庁へ送付します。

 オンラインで提出する場合は、登録料を事前に特許庁に納付する必要があります。

 登録料の納付には指定期間があります(商標法第18条第2項)

 指定期間が過ぎるとせっかく合格したのに、登録できないことになります。

 特にあなたが自分で商標出願する場合はご注意ください。弁理士を利用する場合は心配不要です。

 次に、特許庁から登録証が送られてきます。

 ここは少しややこしいのですが、権利の設定登録が特許庁よりなされ、その後に登録証が郵送されます(参考:権利化のための特許(登録)料の納付の流れについてhttps://www.jpo.go.jp/system/process/toroku/settei_nagare.html)

 商標の権利の発生は、設定登録から発生します(商標法第18条第1項)登録証が郵送された日から権利が発生するわけではないのでご注意ください。

 商標権の存続期間は設定登録から10年間ですが、上のとおり、更新手続きを行えば永久に存続させることができます(商標法第19条第1項、第2項)。

一方、審査結果でNGが通知されたとしても、補正書と意見書を提出することで登録が認められる場合があります。

 ここでは詳しい説明を省略しますが、登録を審査官に認めるために、専門家である弁理士に依頼することをおすすめします。

 商標登録出願自体は簡単ですが、補正書と意見書の提出は専門性が必要です。

 もし、あなたがこのケースにリスクを感じるなら、出願も含めて弁理士に頼むことをおすすめします。

 では流れを理解したところで、商標権が発生するとあなたはどのようなメリットを受けられるのでしょうか。

 言い換えると、あなたは商標権をもっていない場合、どのようなリスクを受けることになるのか。以下に解説します。

 なお拒絶理由についてはこちらで解説しています。

商標の拒絶理由通知とは

4.商標登録をとらないことのリスクとは!?

 商標権とは、指定商品又は指定役務について登録商標の使用をする権利をいいます(商標法第25条)

 登録商標とは、商標登録出願から審査を経て合格し、所定の登録納付料の支払いが完了した商標をいいます。

 この文言だけ見ると、単に使用する権利なら商標登録しなくてもいいじゃないかと思われるかもしれません。

 しかし、この登録商標を使用する権利を手に入れると、さらに以下の権利も得ることができます。

 「…自己の商標権…を侵害する者又は侵害するおそれがある者に対し、その侵害の停止又は予防を請求することができる。(商標法第36条第1項)」

 「次に掲げる行為は、当該商標権…を侵害するものとみなす。一 指定商品若しくは指定役務についての登録商標に類似する商標の使用又は指定商品若しくは指定役務に類似する商品若しくは役務についての登録商標若しくはこれに類似する商標の使用…(商標法第37条)」

 表現が難しいので簡潔に言うと、願書に記載した指定商品・指定役務と同一・類似の範囲内で、あなたの登録商標と同一・類似の商標を使用したものに対して、使用するなと排除できるのです。

 例えば、第3者がコーヒー豆の商品名を「COFFEE BOY」として販売していた場合、その販売を禁止することができます。

 そうすると、第3者は、その商品名を変更するばかりか、そのパッケージも作り直さないといけず、大きな損害を被ります。

 商標は「記号」であり、ユーザは同じ商品・サービスを選ぶときにたいていは「記号」をもとに選びます。

 この記号には、「信頼」「感覚」「理念」などさまざまな意味が包含されています。

 例えば、ユーザは、コーラを買うとき、「信頼」と味わった爽快な「感覚」を「コカ・コーラ」という記号に頭の中で結び付けて、複数のコーラの中から「コカ・コーラ」を選択します。

 このように、商標という「記号」には数ある商品・サービスの中からユーザに選択してもらう(ユーザを惹きつける)強力な力があります。

 この力は、年月の経過とともに蓄積されていきます。

 ここで、あなたが商標登録をしていなければ、これから長い時間をかけて蓄積させていく力を失ってしまうリスクがあります。

 どういうことかというと、第3者があなたの商標の真似をして、商品・サービスの品質を低下させるおそれがあります。

 似たような商標が市場に出ると、ユーザは混乱をして、あなたの商標と第三者の商標を混合してしまいます。

 このような場合、商標権がないと第3者の商標の使用を排除したくても排除できません。

 また、商標権を手に入れた第3者が、あなたに対して商標権の侵害だと言われるおそれもあります。

 この場合、商標権をもっていないと、第3者に対して対抗することが難しくなります。

 そうすると、あなたはせっかくこれまで蓄積してきた商標を放棄せざるをえないということになります。

 これらが商標登録をしないことのリスクです。

 ビジネスをはじめたばかりならこのリスクはまだ実感がないかもしれませんが、年月の経過とともにリスキーになっていきます。

 また、商標権は、同一・似たような商標が合った場合、早い者勝ちであるということも補足しておきます。

 また、商標権をとることのメリットとして、あなたの商品・サービス名の後ろに®をつけることができます。

 よく商品名の後ろに®やTMが表記されます。

 ®は、Rマークともいわれ、これが表記された商品名(商標)は登録商標であることを意味しています。

 一方、TMは登録されている、されていないにかかわらず商標ですよということを示すマークです。

 ®を表記することで第3者にこれは使ってはいけないという強い意思表示をすることができます。

 このため、第3者が似たような商標を使用することをより一層排除することができます。

 以上のとおり、商標権をとることはとても重要です。

 では商標権をとるために費用はいくらかかるのだろうと思われるかもしれません。

 今は弁理士を利用しても、一昔前(2003年)の相場の半分程度の費用でおさえられるところもあります。

5.商標登録にかかる費用はどれくらい!?

商標登録の費用と相場

 費用は、特許庁へ支払う費用と弁理士へ支払う費用で分かれます。

 特許庁へ支払う費用は以下のとおりです。

 出願から登録までに2回特許庁へ支払う必要があります。

 上のとおり、区分が増えると手数料は増額されることに注意してください。

 一方、弁理士へ支払う費用の相場は以下のとおりです。

 弁理士へ支払う場合、昔(2003年)の商標出願の費用の相場は、手数料は3区分あたり、約13万円ほどかかりました(参考:2003年に弁理士会が特許事務所を経営する弁理士に特許庁への手続きに関する報酬についてのアンケートの調査結果https://www.jpaa.or.jp/old/consultation/commission/pdf/tokkyojimuhousyuuankt_20030530-35.pdf)

 1区分に換算すると、3~4万円ほどです。

 特許事務所によっては出願手数料を安くして登録手数料を高めにしたり、出願手数料を高くして登録手数料を安くしたりすることがあるので注意が必要です。

 なお、特許事務所BrandAgentでは弁理士報酬として頂く報酬は出願時のみでとても安く抑えています。

6.商標登録のまとめ

 以上、商標についてまとめました。

 全文7,000文字弱でありボリュームが多めでしたがご覧頂きありがとうございます。

 本内容を通じて、商標について概要を一通り理解でき、お役に立てれば幸いです。