商標登録の費用ってどれくらい?
弁理士に頼むと費用の相場はどれくらい?
自分でやったら費用はどれくらい?自分でやるデメリットは?
こうした疑問に弁理士が解説します。
商標登録には、一定の費用が必要です。
しかし、その費用の詳細や支払い方法などについては、初めての人には分かりづらいかもしれません。
この記事では、弁理士が商標登録に必要な費用の詳細について解説します。初めて商標登録をする人は、ぜひ参考にしてください。
なお、2022年4月1日より特許庁へ支払う料金が大きく変更されました。
参考:特許庁HP「産業財産権関係料金の見直しに対する意見募集について」
このため、本記事は2022年4月1日以降の料金を想定した最新の記事となっています。
なお、本記事は日本国内の商標登録の費用について解説していますが、
中国の商標登録の費用についても別記事で解説しています。あわせてご参考ください。
本記事の構成
1.商標登録に必要な費用の種類
2.商標登録申請費用について
3.商標登録申請後の費用について
4.商標登録申請前の費用について
5.その他の商標登録にかかる費用について
- 関西の特許事務所と大手法律事務所と大手企業知財部で合計10年ほどの知財実務を積んできました。
- 特許サポート件数1,000件以上、商標申請代行件数2,000件以上の弁理士です。
- 京都で特許事務所BrandAgentを開業しています。
- ブログ歴3年以上でブログを書くことが趣味です。
- 月間PV数最高11万超のブログを運営したこともあります。
- 初心者の方でもわかりやすいように記事を書くことが得意です。
商標登録に必要な費用の種類
1.商標登録申請時の費用
商標申請をするときに必要な費用です。
商標申請費用は、商標登録の区分が増えると高くなります。
区分については後述します。
2.商標登録申請後の費用
商標申請後に発生する費用です。
審査の結果、登録査定が通知されると登録料を払う必要があります。
登録料は、商標登録の区分が増えると高くなります。
3.商標登録申請前の費用
商標登録申請前にすでに類似する商標が存在しているかどうか調査する費用です。
自分でする場合、費用はかかりませんが、弁理士に依頼する場合は費用がかかる場合があります。
4.商標権を維持するための費用
商標権が認められると、通常10年おきに納める費用であり、更新料ともいわれます。
以上が商標登録に必要な費用の種類です。
商標登録を検討する際には、これらの費用について事前に調べておくことが大切です。
以下ではさらに深堀して解説していきます。
商標登録の申請費用
商標登録の申請費用は、特許庁に支払う費用と、弁理士に支払う費用の2つに分かれます。
ここで、特許庁に支払う費用は、「印紙代」といいます。
この「印紙代」は、あなたが自分で商標申請をする場合であっても、弁理士に代行して商標申請してもらう場合であっても必ず発生する費用です。
では、この印紙代ですが、実際にどれくらいかかるのか。
以下の表にまとめました。
1区分・5年分納付 | 1区分・10年分納付 | 2区分・5年分納付 | 2区分・10年分納付 | |
申請時(印紙代) | ¥12,000 | ¥12,000 | ¥20,600 | ¥20,600 |
登録時(印紙代) | ¥17,200 | ¥32,900 | ¥34,400 | ¥65,800 |
総額 | ¥29,20 | ¥44,900 | ¥56,000 | ¥86,400 |
まず、商標登録の費用は、申請時と登録時の2段階で発生することに注意してください。
注意すべきは、区分の数と納付年数によって、費用は変わるということです。
区分の数が1つ増えるごとに、申請時に8,600円増額し、登録時に17,200円(5年分納付の場合)または32,900円(10年分納付の場合)増額します。
このため、商標登録の費用は、32,400円~48,100円ほどかかるものと思ってください。
区分とは?
ここで、区分の数によって、商標登録の費用が変わることにご注意ください。
区分とは、商標に使用したい商品やサービスのカテゴリーをいいます。
カテゴリーは第1類から第45類まであります。
例えば、Panasonic(登録商標)はテレビなどの電化製品(商品)に使用する商標であり、この場合は区分は第9類になります。
もし、電化製品だけでなく化粧品にも使用したい場合には化粧品に相当する区分である、第3類も指定する必要があり、この場合は区分は第3類と第9類の2区分となります。
すると、区分が一つ増えるため商標登録の費用は変わります。
通常、区分が一つ増えるごとに特許庁に支払う費用は以下のように増額します。
注意ポイント
・申請時の費用(+8,600円)
・登録時の費用(+17,200円(5年分割払いの場合。)、+32,900円(10年一括払いの場合。))
このため、なるべく商標登録の費用をおさえるためには、適切な区分を必要なだけ指定し、やみくもに区分を多く指定しすぎないことが重要です。
商標登録の費用(自分でやる場合)と注意点
あなたが商標登録を自分でやる場合、必要な費用は特許庁に支払う費用(印紙代)となります。
ただし、注意点が2つありますので注意点をまとめました。
注意ポイント
- 特許庁に書面で提出する場合は、電子化手数料がかかる
- 書面には通常「収入印紙」を貼り付ける必要がある
●電子化手数料
特許庁に書面を提出する場合は、さきほどの印紙代に加えて、電子化手数料がかかります。
電子化手数料は、1件につき2,400円+800円*(書類の枚数)となります。参考:特許庁HP「書面で手続する場合の電子化手数料について」
こちらは残念ながら、2022年3月末までは、電子化手数料が1,200円+700円*(書類の枚数)でしたが、
2022年4月1日以降からはおおよそ2倍値上がりしていることに注意してください。
例えば、あなたが商標申請を書面で提出する場合、書面の枚数が2枚であれば、電子化手数料は以下のとおりとなります。
2,400円+(2枚*800円)=4,000円
また、商標を申請後、登録査定が通知されると、登録料を収めるために登録納付書を提出する必要があります。
この登録納付書もまた書面で提出する場合には、通常書面の枚数は1枚ですので、電子化手数料は以下のように払う必要があります。
2,400円+(1枚*800円)=3,200円
このように、あなたが商標に関する手続(申請・登録納付など)を書面で行う場合は、電子化手数料が発生します。
一方で、特許庁への手続は、書面以外にオンラインで行うことも可能です。
この場合は、電子化手数料は発生しません。
しかしながら、オンラインで行う場合は、特許庁の出願ソフトをインストールしたり、電子証明書を取得したりする必要があり、とても煩雑です。
毎年コンスタントに商標申請をする場合には出願ソフトを導入することは得策ですが、
個人で申請するなど商標の申請件数が少ない場合には、現実的には書面で提出することが現実的であり、電子化手数料は必須といえます。
●収入印紙
また、特許庁への手続きを書面で行う場合、
印紙代は「収入印紙」を書面に貼り付ける必要があることに注意してください。
「収入印紙」は通常、郵便局で入手できます。
なお、印紙には、「特許印紙」と「収入印紙」の2種類があります。
間違って「特許印紙」を購入しないように気をつけましょう。(余談ですが、商標の登録証の再発行に必要な印紙は「収入印紙」ではなく「特許印紙」となります。)
このため、あなたが自分で商標申請したり、登録料を納付したりするときは、
費用の支払いは、
「クレジットカード」「銀行振り込み」「現金払い」などが不可能であり、
郵便局に行って「収入印紙」を入手する必要があります。
商標登録を自分でやる場合のデメリット
商標登録を自分でやる場合には、弁理士に支払う費用を抑えることができるというメリットがあります。
しかしながら、自分でやる場合、上述のように、
「電子化手数料もかかること」
「自分で収入印紙を入手する必要があり、手続きが面倒であること」
というデメリットもあります。
なお、弁理士に依頼する場合は、通常弁理士はオンラインで手続を行うため、電子化手数料はかかりません。
さらに商標登録を自分でやる場合には以下のデメリットもあることを注意してください。
注意ポイント
- 申請書類の作成に時間がかかる
- 商標がロゴの場合には、所定の条件に沿ってロゴを申請書に掲載する必要があり面倒
- 申請が初めての場合、申請書類に不備が発生しやすく、登録までに時間がかかる
- 申請前の登録可能性の調査が不慣れの場合、登録に失敗する可能性が高く、申請料と時間が無駄になる
- 登録納付の書類の作成に時間がかかる
- 審査の結果、拒絶理由が通知された場合、自分で応答案を作成する必要がある
費用の観点から、自分で商標申請をすることは得策ですが、結局失敗してしまうと、申請にかかる費用だけでなく、申請までに費やした時間も無駄になってしまいます。
そこで、もしあなたが申請に不安であるのであれば、弁理士に依頼してより確実に登録を目指す方が得策といえるでしょう。
では、弁理士に依頼した場合、費用はどれくらい増えるのか。
弁理士手数料はまちまちなので、以下では登録費用の相場として見ていきます。
商標登録の費用と相場(弁理士に依頼した場合)
1区分 | ||
特許庁費用(印紙代) | 弁理士手数料(※) | |
申請時 | ¥12,000 | ¥66,989 |
登録時(10年分納付) | ¥32,900 | ¥45,409 |
総額 | ¥44,900 | ¥112,398 |
まとめると上のようになります。
つまり、弁理士に依頼した場合の商標登録の費用の相場は、112,398円ということになります。
ただし、こちらのアンケート結果は平成15年度のものであり、それから20年間で弁理士手数料は安くなっている傾向にあります。
例えば、筆者が運営する特許事務所BrandAgentの申請手数料は14,800円となりとても安くなっています。
くわしい料金などについてはこちらのサイトから確認できます。
しかしながら、それでも弁理士費用は数万円ほどかかりますので、自分でやったほうがお得ではないかと思われるかもしれません。
そこで、続いて商標登録を弁理士に依頼するメリットをまとめます。
商標登録を弁理士に依頼するメリットは?
メリットは以下のとおりです。
弁理士に依頼するメリット
- あなたの時間を節約できる
- 早く申請できる
- より確実にとりたい範囲をカバーできる
- 期限管理もしてもらえる
商標の申請は書類をつくることに時間がかかります。
これに対し、プロの弁理士に依頼すれば書類の作成を代行してもらえるので、時間の節約とともに早く出願できるというメリットがあります。
商標権は、早い者勝ちですので早く出願できることは大きなメリットといえます。
また、せっかく商標を登録してもじっさいにとりたい範囲がカバーされていないというリスクもあります。
これに対し、経験豊富なプロの弁理士に依頼するとそのようなリスクも回避することができ、より確実にとりたい範囲をカバーできます。
さらに、商標の出願後、指定期間内に特許庁に応答することが多く、期限管理が大変になることがあります。
これに対し、弁理士に依頼すると、特許事務所が期限管理も代行してもらえるので楽になります。
このため、商標登録は自分でやるよりも弁理士に依頼する方が結果的にはコストパフォーマンスはよく、賢い選択といえるでしょう。
商標登録申請前の費用について
前述のとおり、
商標登録申請前にすでに類似する商標が存在しているかどうか調査する費用です。
自分でする場合、費用はかかりませんが、弁理士に依頼する場合は費用がかかる場合があります。
すでに似たような商標が登録されていると、商標登録できないため申請費用が無駄になってしまいます。
より確実に登録を目指すためには通常商標申請の前には調査を行うのですが、弁理士などの専門家に依頼することが多いです。
そうすると、調査費用も発生します。
調査費用の相場は、まちまちですが、調査を無料でしてくれるところもあります。
特許事務所BrandAgentでは、調査費用は無料で対応しますのでお気軽にご相談いただければと思います。
その他の商標登録の費用
以上のとおり、商標登録の費用は、申請時と登録時に発生すると解説しました。
しかし、商標登録の費用は、それ以外の場合においても費用が発生することがあります。
それ以外の場合、とは以下の場合です。
- 早期審査の申請
- 調査
- 意見書・補正書の作成と提出
- 拒絶査定に対する審判請求
順番に解説します。
早期審査の費用
早期審査とは、特許庁による審査の期間を短縮できる制度です。
通常であれば審査期間は6か月~1年ほどかかりますが、早期審査制度を利用すれば2~3か月に短縮されます。
くわしくはこちらの記事でも解説しています。
-
商標の早期審査とは?メリット・デメリットから費用・期間までわかりやすく解説!
続きを見る
早期審査を利用することに、特許庁費用(印紙代)はかかりません。
しかし、弁理士に依頼する場合は、さらに弁理士手数料が発生します。
弁理士手数料の相場は、特許事務所によってまちまちです。
意見書・補正書の作成と提出にかかる費用
特許庁による審査によっては登録が認められず、拒絶理由が通知される場合があります。
この拒絶理由に対して応答しなければ、商標登録をすることができません。
そこで、この拒絶理由に対して、意見書と補正書を提出します。
意見書と補正書について詳しい説明は省きますが、この意見書と補正書を特許庁に提出すること自体は、特許庁費用(印紙代)は発生しません。
ただし、意見書と補正書の作成にともなう弁理士手数料が発生します。
この費用の相場ですが、日本弁理士会の弁理士の費用(報酬)アンケートによれば以下のとおりです。
意見書作成料:¥47,907
補正書作成料:¥40,579
※日本弁理士会の弁理士の費用(報酬)アンケートに掲載の平均値。
これに対し、特許事務所BrandAgentでは意見書作成料は¥25,000と安く設定しており、補正書作成料は¥0としています。
とても安く設定しており安心してご利用いただければと思います。
拒絶査定に対する審判請求費用
意見書・補正書を提出しても、特許庁が商標登録を認めない場合もあります。
この場合、拒絶査定が通知されます。
拒絶査定が通知されても、拒絶査定に対する審判請求をすれば登録が認められる可能性があります。
ただし、この審判請求は高額ですので注意が必要です。
審判請求は特許庁費用(印紙代)も発生し、15,000円+(区分数)×40,000円となります。
例えば、1区分の場合は55,000円であり、2区分の場合は95,000円です。
さらに弁理士手数料も発生します。
この費用の相場ですが、日本弁理士会の弁理士の費用(報酬)アンケートによれば以下のとおりです。
拒絶査定不服審判の弁理士手数料:¥197,354
※日本弁理士会の弁理士の費用(報酬)アンケートに掲載の平均値。
商標登録の費用と相場のまとめ
以上のように、商標登録の費用をまとめました。
この記事を書いている弁理士が運営している特許事務所BrandAgentでは、申請手数料は25,000円(税別)でサポートをしています。
ぜひご利用いただければと思います。