
登録された商標って、もう取り消せないの?
無効審判ってどんなときに使うの?
異議申立てや不使用取消審判とは何が違う?
こうした疑問に弁理士が解説します。
商標は、特許庁の審査を経て登録されます。
しかし、登録された商標であっても、後から見ると「そもそも登録されるべきではなかった」というケースがあります。
そうした場合に問題になるのが
「商標無効審判」です。
商標無効審判とは、登録商標に無効事由があるときに、その商標登録を無効にするよう求める制度です。特許庁の書き方見本でも、商標法46条1項各号の無効事由に該当することを、事実と証拠に基づいて主張立証する手続として整理されています。
もっとも、無効審判は「登録後ならいつでも誰でも使える制度」というわけではありません。
理由によっては利害関係人しか請求できないものがあり、また一部の無効理由には登録日から5年の除斥期間があります。
この記事では、
無効審判の基本 → 請求できる理由 → 異議申立てとの違い → 実務上の注意点
の順に整理します。
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結論:商標無効審判は、「本来登録されるべきでなかった商標登録」を後から争う制度です。
- 使う場面:登録後に、先行商標との類似や混同のおそれなど重大な無効事由が判明したとき
- 請求人:無効理由によっては利害関係人のみ
- 期間:理由によっては5年の除斥期間がある
つまり、登録後の商標を争う代表的手段ですが、請求できる人・タイミング・主張理由にはルールがあります。
この記事でわかること
- 商標無効審判とは何か
- どんな理由で無効審判を請求できるのか
- 誰が請求できるのか
- 異議申立て・不使用取消審判との違い
- 実務上の注意点(期間・証拠・請求対象)
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商標無効審判とは?
商標無効審判とは、すでに登録された商標について、法律上の無効事由がある場合に、その登録の無効を求める審判です。
特許庁の記載例でも、請求書には、どの無効事由に該当するのかを特定し、その理由を具体的事実と証拠で示すことが求められています。
ここで大事なのは、無効審判は「登録後の争い」だという点です。
つまり、出願中の段階で争うのではなく、すでに登録が成立した後に、その登録を覆すための手続です。
無効審判が必要になる典型場面

実務では、次のような場面で無効審判を検討することが多いです。
- 先行する自社商標と類似する登録が成立してしまった
- 著名ブランドにただ乗りするような登録がされた
- 異議申立ての2か月を過ぎてしまった
- 警告や侵害紛争の中で、相手方登録の有効性を争う必要が出た
制度趣旨としても、登録異議申立てが「登録後の早期チェック制度」であるのに対し、無効審判は、登録の適否をめぐる当事者間の本格的紛争解決手段と位置付けられています。
どんな理由で無効審判を請求できるのか
無効審判の無効事由は一つではありません。
特許庁の商標審判請求書見本でも、たとえば次のような理由が例示されています。
- 4条1項11号:先行登録商標と同一又は類似で、その指定商品・役務も同一又は類似
- 4条1項15号:他人の業務に係る商品・役務との混同を生ずるおそれ
- 3条各号:識別力がない、説明的であるなど
- その他の無効事由:公序良俗違反、権利帰属に関する問題など
つまり、単に「気に入らない商標だから」では無効審判はできません。
商標法上の無効事由に当てはまることが必要です。
無効審判を請求できる人は?
ここは実務上かなり大事です。
無効審判は、無効理由によって、誰でも請求できるわけではありません。
特許庁の制度解説では、権利帰属に係る無効理由については、利害関係人にのみ請求人適格を認める整理が示されています。
そのため、記事としては次の理解で押さえると実務的です。
- 公的な無効事由:比較的広く問題にし得る
- 権利帰属など当事者性が強い無効事由:利害関係人が必要
つまり、請求人適格まで含めて、最初に見立てを立てる必要があります。
「理由はあるが、自分は請求できる立場か?」という確認が不可欠です。
無効審判には5年制限がある?
これも誤解が多いポイントです。
無効審判は「原則いつでも」と説明されることがありますが、正確には、理由によっては登録日から5年の除斥期間があります。
特許庁の制度解説でも、無効審判は利害関係人であればいつでも請求できるが、理由によっては5年の除斥期間があると明示されています。
したがって、無効審判を検討するときは、
- どの無効理由でいくのか
- その理由に5年制限があるのか
- 登録日からどれだけ経っているか
を必ず確認する必要があります。
異議申立てとの違い

ここはユーザーが一番混同しやすいところです。
異議申立ては、登録後まもない時期に、第三者が登録を見直してもらう制度です。
これに対し、無効審判は、登録の有効性をめぐる当事者間の本格的争いに近い制度です。特許庁の制度説明でも、異議申立ては公衆の利益保護・早期是正、無効審判は紛争解決を目的とすると整理されています。
違いをざっくり整理すると、こうなります。
| 制度 | 異議申立て | 無効審判 |
| 位置付け | 登録直後のチェック | 登録後の本格的争い |
| 期間 | 商標掲載公報発行日から2か月以内 | 原則登録後に請求可能(理由により5年制限あり) |
| 請求人 | 何人も | 理由により利害関係人が必要 |
異議申立ては2か月を過ぎると使えませんが、無効審判はその後の選択肢として重要です。異議申立てが2か月以内に限られるのに対し、無効審判は制度趣旨も異なります。
不使用取消審判との違い
無効審判と不使用取消審判も、まったく別物です。
- 無効審判:そもそも登録に無効事由があったかを争う
- 不使用取消審判:登録後に3年以上使われていないことを理由に取消しを求める
つまり、無効審判は「登録時点の違法性」、不使用取消審判は「登録後の不使用」がテーマです。
相手の登録商標を崩したいときも、どの制度で攻めるべきかは全く違います。
無効審判の流れ
商標無効審判は、一般に次のように進みます。
- 無効理由の検討
- 証拠収集
- 審判請求書の作成・提出
- 被請求人による答弁
- 審理
- 審決
特許庁の見本でも、請求書では「請求の趣旨」と「請求の理由」を明確に分け、無効事由ごとに具体的事実と証拠で主張する構成が取られています。
一部無効も可能
無効審判は、登録全体だけでなく、指定商品・指定役務の一部について無効を求めることもできます。
実際、特許庁の請求書見本でも、「指定商品中〇〇について無効にする」といった一部無効の記載例が示されています。
これは実務上とても重要です。
全部を倒しにいくよりも、問題となる区分や商品だけを狙う方が、主張が明確になりやすい場面があります。
実務上の注意点
無効審判でよくある注意点
- 異議申立てと無効審判を混同しない
- 無効理由ごとに、請求人適格があるか確認する
- 5年の除斥期間があるか確認する
- 全部無効か一部無効か、請求対象を設計する
- 証拠と主張の対応関係を整理する
特に多いのは、
「登録後だからとりあえず無効審判」
という発想です。
実際には、
- まだ異議申立期間内なら異議申立ての方がよいのか
- 不使用が問題なら不使用取消審判ではないか
- そもそも5年制限で無効審判が難しいのではないか
といった制度選択が先に来ます。
どんな場合に無効審判を検討しやすいか
たとえば次のような場合です。
- 先行する自社登録商標に近い商標が登録されてしまった
- 著名ブランドとの混同を生じる登録が成立した
- 異議申立ての2か月を過ぎたが、なお争いたい
- 侵害警告を受け、相手登録の有効性を争う必要が出た
つまり、無効審判は「登録後に打てる重要な反撃手段」です。
ただし、制度選択と主張立てを誤ると、時間もコストもかかります。
FAQ
- Q. 無効審判は誰でもできますか?
A. いつでも誰でもできるわけではありません。無効理由によっては利害関係人であることが必要です。 - Q. 無効審判に勝つとどうなりますか?
A. 無効審決が確定すると、その登録は無効となります。制度上、無効事由のある登録を排除する手続です。 - Q. 異議申立てとの違いは?
A. 異議申立ては登録後2か月以内の早期チェック制度、無効審判はその後も使い得る本格的な紛争解決手段です。 - Q. 5年を過ぎたら絶対に無効審判できませんか?
A. 一律ではありません。理由によって5年の除斥期間があるため、どの無効理由で争うかを個別に検討する必要があります。
登録された商標を争う方法は、無効審判だけではありません。
異議申立て、不使用取消審判、交渉、再出願など、状況によって最適解は変わります。
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