
こうした疑問にお答えします。
結論から言うと、特許取得の費用は「特許庁に納める公費(印紙代)」と「弁理士に依頼する場合の手数料」の2種類に分かれます。特許庁の公費だけなら最低16万円台から、弁理士費用を含めると80〜100万円程度が一般的な目安です。
本記事では、令和8年4月1日現在の最新料金に基づいて、費用の全体像・節約方法を弁理士・叶野徹が解説します。
特許の申請方法はこちらの記事も参考にしてください。
【この記事でわかること】
- 特許申請にかかる公費の内訳(令和8年4月最新版)
- 請求項数別の費用早見表
- 弁理士に依頼した場合の相場
- 中小企業・ベンチャーが使える減免制度
- 費用を抑えるための実践的なポイント
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特許申請にかかる公費(特許庁費用)の内訳

特許庁に納める公費は、主に以下の3種類です。いずれも請求項の数(クレーム数)によって金額が変わります。
公費の計算式(令和8年4月1日現在)
- 出願料:14,000円(請求項数に関わらず一律)
- 出願審査請求料:138,000円 + 請求項数 × 4,000円
- 特許料(登録料)第1〜3年分:毎年 4,300円 + 請求項数 × 300円
請求項数ごとの公費合計(出願料+審査請求料+第1〜3年分登録料)は以下の通りです。
| 請求項数 | 出願料 | 審査請求料 | 登録料(3年分) | 公費合計 |
|---|---|---|---|---|
| 1 | 14,000円 | 142,000円 | 13,800円 | 169,800円 |
| 2 | 14,000円 | 146,000円 | 14,700円 | 174,700円 |
| 3 | 14,000円 | 150,000円 | 15,600円 | 179,600円 |
| 5 | 14,000円 | 158,000円 | 17,400円 | 189,400円 |
| 10 | 14,000円 | 178,000円 | 21,900円 | 213,900円 |
※令和8年4月1日現在の料金です。登録料は第1〜3年分の3年間合計で表示しています(毎年4,300円+請求項数×300円の3年分)。
登録料(特許料)は年数で変わる
特許権は出願日から最長20年間(25年)有効ですが、維持するには毎年「特許料(年金)」を納付する必要があります。年数が経過するほど料金が上がる仕組みです。
| 期間 | 年額の計算式 | 請求項1の場合(年額) |
|---|---|---|
| 第1〜3年 | 4,300円 + 請求項数×300円 | 4,600円/年 |
| 第4〜6年 | 10,300円 + 請求項数×800円 | 11,100円/年 |
| 第7〜9年 | 24,800円 + 請求項数×1,900円 | 26,700円/年 |
| 第10年〜 | 59,400円 + 請求項数×4,600円 | 64,000円/年 |
特許を長期間維持するほど年金負担が増えます。「この特許を何年間使うか」を見据えた維持戦略が重要です。
追加費用が発生するケース
追加で発生しうる公費
- 拒絶理由への応答期限延長:51,000円(期限後に応答する場合)
- 拒絶査定不服審判:49,500円 + 請求項数×5,500円
- 回復手数料:212,100円(期限徒過後の権利回復)
なお、拒絶理由通知への応答(意見書・補正書の提出)と早期審査の申請は公費がかかりません。
弁理士に依頼した場合の費用相場

弁理士手数料は事務所ごとに自由設定です。日本弁理士会のアンケート調査(平成18年実施)を参考に、相場感を整理します。
| 手続きの種類 | 相場(目安) | 備考 |
|---|---|---|
| 出願時手数料 | 約300,000円 | 明細書15頁・請求項5・図面5枚想定 |
| 登録時手数料(成功報酬) | 約118,000円 | 登録査定後に請求されることが多い |
| 意見書(拒絶対応) | 約66,000円 | 請求項増加なしの場合 |
| 手続補正書(拒絶対応) | 約64,000円 | 請求項増加なしの場合 |
| 合計目安(拒絶対応含む) | 約550,000円〜 | 公費別途 |
公費と弁理士手数料を合算すると、特許取得には総額80〜100万円程度が目安となります。発明の難易度・明細書のページ数・請求項数によって変動します。
重要:拒絶理由は「ほぼ必ず」来ると思ってください
特許審査では、ほとんどの出願に対して一度は拒絶理由通知が届きます。これに対して意見書や補正書で応答するための弁理士費用(意見書約66,000円+補正書約64,000円)は、費用計画に最初から織り込んでおくことをお勧めします。
また、事務所によっては以下の手数料を別途請求する場合もあります。
- 早期審査申請手数料:3〜5万円程度
- 出願審査請求手数料:1万円程度
- 減免申請手数料:1万円程度
- 拒絶査定不服審判対応:10〜20万円程度
まずは弁理士に相談して、特許が取れる可能性・費用対効果を確認した上で出願の判断をすることをお勧めします。
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費用を抑える方法①:中小企業・ベンチャー向け減免制度

特許庁には、出願審査請求料と特許料(第1〜10年分)を減額・免除する制度があります。中小企業・スタートアップにとって大きなコスト削減手段です。
| 対象 | 審査請求料 | 特許料(〜10年分) |
|---|---|---|
| 中小企業(会社・個人事業主・組合・NPO法人) | 1/2に軽減 | 1/2に軽減 |
| 中小ベンチャー企業(設立10年未満・資本金3億円以下等) | 1/3に軽減 | 1/3に軽減 |
| 小規模企業(従業員20人以下等) | 1/3に軽減 | 1/3に軽減 |
| 研究開発型中小企業 | 1/2に軽減 | 1/3に軽減 |
| 個人(市町村民税非課税者等) | 免除または1/2 | 免除または1/2(〜3年)、1/2(4〜10年) |
| 大学・アカデミック(研究者含む) | 免除または1/2 | 免除または1/2(〜3年)、1/2(4〜10年) |
| 福島復興再生計画に基づく中小企業 | 1/4に軽減 | 1/4に軽減 |
中小ベンチャー企業の要件
(法人の場合)
- 設立後10年未満で資本金額または出資総額が3億円以下の法人
- 大企業に支配されていないこと
(個人の場合)
- 事業開始後10年未満であること
小規模企業の要件
- 常時使用する従業員が20人以下(商業・サービス業は5人以下)
- 大企業に支配されていないこと
減免申請の方法
出願審査請求書の「手数料に関する特記事項」欄に以下のように記載するだけです。証明書の提出は不要です。
【手数料に関する特記事項】特許法施行令第10条第5号イに掲げる者に該当する請求人である。減免申請書の提出を省略する。
特許料(登録料)の減免も同様に「特許料等に関する特記事項」欄に記載します。審査請求料と登録料は公費の中でも金額が大きいため、該当する方は必ず減免申請を活用してください。
費用を抑える方法②:出願時に意識すべきポイント
費用を抑えるための実践的なポイント
- 請求項数を最小限にする:請求項が増えるほど審査請求料・登録料が増加します。ただし、請求項を減らしすぎると権利範囲が狭くなるリスクもあるため、バランスの判断が重要です。
- 出願前に技術を公開しない:展示会・学会・SNS等での技術公開は「新規性なし」として拒絶の原因になります。公開前に出願するのが鉄則です。
- 先行技術調査を出願前に行う:既に同様の特許が存在する技術への出願は費用の無駄です。J-PlatPat等での事前調査は必須です。
- 減免制度の活用:中小企業・ベンチャーに該当する場合、審査請求料・特許料が最大1/3まで軽減されます。
- 維持年数の見直し:事業上の必要性を考慮しながら、必要な年数分のみ特許を維持する戦略的な管理が重要です。
まとめ:特許費用は「取れるか」より「使えるか」で判断する

この記事のまとめ
- 特許取得の公費は最低約17万円〜(請求項1の場合)。弁理士費用を含めると80〜100万円程度が目安。
- 公費は請求項数が増えるほど高くなる。請求項設計が費用を大きく左右する。
- 拒絶理由対応の費用(意見書+補正書で約13万円)は最初から費用計画に含めておくこと。
- 中小企業・ベンチャーは減免制度で審査請求料・特許料を最大1/3まで軽減できる。
- 出願前の先行調査・技術の非公開・減免申請の活用が費用最適化の3本柱。
特許費用は決して安くありませんが、「競合を排除できる権利」として機能するかどうかが、投資対効果の本質です。費用だけを見て出願を見送るより、「この特許があれば競合はどうなるか」という視点で判断することをお勧めします。
「自社の技術が特許になるか、どの程度費用がかかるか」を具体的に確認したい方は、まずBrandAgentにご相談ください。
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