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商標出願とは?出願から登録までの流れ・費用・注意点を弁理士が解説【2026年版】

悩んでいる方

商標出願って、商標登録と何が違うの?
出願したらすぐに権利になるの?
どんな流れで登録まで進むのか知りたい。

こうした疑問に弁理士が解説します。

「商標登録」という言葉はよく知られていますが、実務ではまず
「商標出願」
から始まります。

商標出願とは、ブランド名・商品名・サービス名・ロゴなどについて、特定の商品・サービスに使う商標として登録を受けたいときに、特許庁へ申請する手続です。願書に商標見本・出願人・区分・指定商品または指定役務などを記載して提出します。

ただし、ここで大事なのは、
出願しただけでは、まだ商標権は発生しない
という点です。

商標権は、審査を通過し、登録料を納付し、設定登録がされた時点で初めて発生します。

この記事では、
商標出願の基本 → 願書で決めること → 登録までの流れ → 審査と対応方法 → よくある失敗
の順に整理します。

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結論:商標出願とは、商標登録を受けるために特許庁へ申し込む手続です。

  • 出願時に決めること:商標(見本)、区分、指定商品・役務、出願人
  • 出願後の流れ:方式審査 → 実体審査 → 登録査定 → 登録料納付 → 設定登録
  • 重要な点:出願=登録ではない。設定登録によって商標権が発生する

つまり、商標出願は「権利取得のスタート」です。登録まで見据えて設計することが大切です。

この記事でわかること

  • 商標出願とは何か(特許庁の手続案内に基づいて解説)
  • 商標登録・商標権との違い
  • 願書に記載すべき項目と注意点
  • 出願から登録までの流れ
  • 審査・拒絶理由通知への対応方法
  • 早期審査の活用
  • 出願時によくある失敗と注意点
記事の信頼性

  • 関西の特許事務所と大手法律事務所と大手企業知財部で合計10年ほどの知財実務を積んできました。
  • 特許サポート件数1,000件以上、商標申請代行件数2,000件以上の弁理士です。
  • 京都で特許事務所BrandAgentを開業しています。
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  • 初心者の方でもわかりやすいように記事を書くことが得意です。

後で譲渡や名義変更が必要になるケースもあるため、最初の名義設計が重要です。

3. 区分をどうするか

商標は、どの商品・サービスについて守りたいかで区分を選びます。区分は第1類から第45類まであります。出願費用も区分数によって変わります。区分の選び方が甘いと、守りたい範囲をカバーできないまま登録されてしまうことがあります。

4. 指定商品・指定役務をどう書くか

区分の中で具体的に何を守りたいのかを記載します。特許庁の手続案内では、指定商品・役務は「商品(役務)の内容及び範囲を明確に理解できる表示」で記載しなければならないとされています。

記載が不明確な場合は補正が必要になったり、拒絶理由の原因になったりします。また、2以上の商品・役務を指定するときはそれぞれの区切りにコンマ(,)を付すことが必要です。

出願から登録までの流れ

商標出願から登録までの流れは、特許庁の「出願から権利消滅まで(商標登録出願)」の手続フローに基づいて整理すると次のとおりです。

  1. 先行商標調査をする
    出願前に、J-PlatPatなどで似た商標が先に登録されていないかを調査します。
  2. 商標・区分・指定商品役務を決めて出願する
    商標登録願を作成して特許庁へ提出。出願料を納付します。
  3. 方式審査
    書類の不備がないかをチェックされます。不備があれば補正指令が来ます。
  4. 出願日の認定
    願書に必要事項が揃っていれば、提出した日が出願日として認定されます。商標登録を受けようとする旨の表示・出願人の氏名・商標見本・指定商品または指定役務のいずれかが欠けていると出願日が認定されず、補完命令が来ます。
  5. 実体審査
    審査官が識別力・先行商標との類似・公益的な不登録事由などを審査します。特許と異なり、商標制度には審査請求制度はなく、出願されたものすべてが審査されます。
  6. 登録査定または拒絶理由通知
    問題なければ登録査定。問題があれば拒絶理由通知が届きます。
  7. 登録料納付
    登録査定後、謄本送達の日から30日以内に登録料を納付します。
  8. 設定登録・商標権の発生
    登録料の納付が完了すると商標原簿に設定登録され、商標権が発生します。

拒絶理由通知が来たときの対応

審査で問題が見つかった場合、審査官から拒絶理由通知が届きます。これは「絶対に登録できない」という通知ではなく、意見書や補正書で対応するチャンスがあるという通知です。

主な拒絶理由としては次のものがあります。

よくある拒絶理由

  • 商標法4条1項11号:先行登録商標と同一または類似で、同一・類似の商品・役務に使用するもの
  • 商標法3条1項3号等:商品・役務の産地・品質等を普通に表示する標章のみからなる(識別力なし)
  • 商標法4条1項7号:公序良俗を害するおそれがあるもの
  • 指定商品・役務の記載が不明確

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拒絶理由通知に対しては、指定された期間内(国内居住者は40日、在外者は3ヶ月)に意見書(審査官の判断に反論する書面)や手続補正書(指定商品・役務などを補正する書面)を提出できます。

期間延長が必要な場合は、期間延長請求書を提出することも可能です(手数料2,100円、応答期間内に1ヶ月延長)。

意見書・補正書によっても拒絶理由が解消しない場合は拒絶査定となります。これに不服がある場合は、謄本送達から3ヶ月以内に拒絶査定不服審判を請求できます。

BrandAgentでは、これまで2,000件以上の商標出願をサポートしています。拒絶理由通知への対応についても多数の実績があります。

早期審査を活用する方法

通常、商標登録出願の審査には半年〜1年程度かかりますが、一定の要件を満たせば早期審査を申し出ることができます。

特許庁の手続案内によると、早期審査の対象となるのは次のいずれかに該当する出願です。

早期審査の対象となる主な要件

  • 対象1:出願人またはライセンシーが、出願商標を指定商品・役務に既に使用している、または使用の準備を相当程度進めていて、かつ権利化について緊急性を要する出願
  • 対象2:出願人が外国において商標登録出願をしており、かつ当該外国出願に関して権利化について緊急性を要する出願
  • 対象3:中小企業・小規模事業者・個人事業者・スタートアップが行う出願

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ただし、動き商標・ホログラム商標・色彩のみからなる商標・音商標・位置商標などの「新しいタイプの商標」や、立体商標の一部(店舗・施設の外観・内装からなるものなど)は早期審査の対象外です。また、令和6年4月1日以降に出願されたコンセント制度の適用を主張する出願なども対象外です。

出願費用について

商標出願時には、特許庁へ出願料を納付します。

区分数 出願料(特許印紙または現金)
1区分 12,000円
2区分 20,600円
3区分 29,200円

登録時には別途登録料が必要です(1区分あたり28,200円・10年分、または16,400円・5年分の分割納付)。

出願料の納付方法は、特許印紙の直接貼付のほか、予納制度・現金納付・口座振替・クレジットカード(指定立替納付制度)があります。

出願前に先行商標調査が重要な理由

出願はできますが、調査せずに出すのは危険です。なぜなら、先に似た商標が登録されていると商標法4条1項11号などで拒絶される可能性が高いからです。

審査では、外観(見た目)・称呼(呼び方)・観念(意味合い)の3つの観点から先行商標との類似性が判断されます。

つまり、商標出願の成否は、
出願書類を作成した時点ではなく、その前の調査と設計でかなり決まる
とも言えます。

自分で商標出願できる?

自分で出願すること自体は可能です。ただし、難しいのは「申請書を出すこと」そのものではなく、次の部分です。

  • 先行商標調査(類似する商標の有無の判断)
  • 区分の選定と指定商品・役務の設計
  • 出願人名義の判断(個人か法人か、どの法人名義か)
  • 拒絶理由通知への意見書・補正書対応

"出せるか"より、"通るように出せるか"が大事です。

商標出願でよくある失敗

商標出願でよくある失敗

  • 調査せずに出願して、先行商標で拒絶される
  • 区分がズレていて、守りたい商品・サービスをカバーできない
  • 指定商品・役務の記載が不明確で補正が必要になる
  • 文字商標とロゴ商標の使い分けを考えずに出願する
  • 出願人名義を誤る(屋号・ペンネームで出願しようとするなど)
  • 出願=権利取得と思い込んでしまう
  • 早期審査の対象外商標なのに、急いで審査されると思い込む

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どんなタイミングで商標出願すべきか

理想は、
名前を決めて、その名前に本格投資する前
です。

特に次のタイミングでの出願をおすすめします。

  • 新商品・新サービスの発表・公開前
  • ホームページ・ECサイト公開前
  • 広告・プロモーション開始前
  • 販路拡大(EC出店・代理店契約など)前
  • 資金調達・IR活動の前

名前が広まってからトラブルになる方が、修正コストはずっと大きくなります。また、日本の商標制度は先に使用していたかどうかに関係なく、先に出願した者に登録を認める「先願主義」を採用しているため、使い始める前の出願が原則です。

よくある質問(FAQ)

  • Q. 商標出願とは何ですか?
    A. 商標登録を受けるために、特許庁へ商標登録願を提出する手続です。出願しただけでは商標権は発生しません。
  • Q. 商標出願したらすぐ権利になりますか?
    A. なりません。審査を通過し、登録料納付後に設定登録されて初めて商標権が発生します。
  • Q. 出願人は個人でも法人でもなれますか?
    A. 自然人(個人)または法人であれば出願人になれます。ただし、個人の場合は戸籍上の氏名が必要で、屋号やペンネームでは出願できません。
  • Q. 商標出願は自分でもできますか?
    A. 書類の提出自体は可能です。ただし、区分・指定商品役務の設計、先行商標調査、拒絶理由への対応は専門知識が求められます。
  • Q. 出願から登録まで何ヶ月かかりますか?
    A. 通常6ヶ月〜1年程度です。早期審査を申し出た場合は2〜3ヶ月程度に短縮できることがあります。
  • Q. 商標出願で一番大事なのは何ですか?
    A. 先行商標調査と区分・指定商品役務の設計です。出願前の設計が、登録できるかどうかを大きく左右します。

まとめ

この記事のポイント

  • 商標出願は「商標権取得のスタート」。出願=権利発生ではない
  • 願書には商標(見本)・出願人・区分・指定商品役務を正確に記載する必要がある
  • 出願人は戸籍上の個人名または登記上の法人名義でなければならない
  • 実体審査では識別力・先行商標との類似などが審査される。審査請求制度はなく全件審査
  • 拒絶理由通知が来ても、意見書・補正書で対応できるチャンスがある
  • 一定条件を満たせば早期審査が利用でき、審査を短縮できる
  • 先願主義のため、使い始める前に出願することが原則

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商標出願は、ブランドを守るための最初の正式なアクションです。「どの名前で出すか」「どの区分で出すか」「登録できそうか」を最初に整理しておくことが、スムーズな権利取得への近道です。

商標登録をお考えの方は、お気軽にご相談ください。

特許事務所BrandAgent
弁理士 叶野徹

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  • この記事を書いた人

叶野徹

京都の特許事務所BrandAgentを運営している弁理士です。関西の特許事務所→大手法律事務所→大手企業知財部→BrandAgentを設立。特許1,000件以上、商標2,000件以上をこれまでにサポートしています。趣味は温泉・サウナです。

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