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商標の区分とは?45区分の選び方と指定商品・役務の考え方を弁理士が解説【2026年版】

悩んでいる方

商標の「区分」ってなに?
区分を増やすと費用はどれくらい増える?
少なすぎると守れない?多すぎると無駄?

こうした疑問に、弁理士がわかりやすく解説します。

商標の区分は、「守れる範囲」「特許庁費用(公費)」を同時に左右します。区分設計を間違えると、登録できても「肝心の事業が守れない」ことがあります。一方で入れすぎると、出願料・登録料が大きく膨らみます。

区分は第1類〜第45類まであります。これは「標章の登録のための商品及びサービスの国際分類に関するニース協定」に基づく国際分類(現行:国際分類第11-2022版)をもとに、日本の商標法施行規則別表で定められているものです。

この記事では区分の基本 → 各区分の内容 → 費用の仕組み → 選び方(実務の考え方)→ よくある失敗例と対策の順に整理します。

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結論:区分は第1類〜第45類。必要な区分を「過不足なく」選ぶことが最重要です。

  • 少なすぎ:守りたい範囲がカバーできない(後で別出願が必要になる)
  • 多すぎ:出願料・登録料が区分数ぶん増えて無駄になりやすい

区分選定に不安がある方は無料相談へ:商標LPはこちら

記事の信頼性

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商標の区分(第1類〜第45類)とは?

区分とは、商標を使う商品・サービスの分類です。INPITの案内によると、商標登録出願に当たっては、商標を使用する商品・役務を指定し、その商品・役務が属する区分(類)を願書に記載しなければなりません。

大きく分けると、

  • 第1類〜第34類:商品(モノ)
  • 第35類〜第45類:役務(サービス)

という構成になっています。

1つの出願において、区分ごとに指定する商品・役務を記載していれば、1区分でも複数区分でも指定できます。同じブランド名でも「何に使うか」で区分が変わり、守れる範囲も変わります。だからこそ区分は"費用の話"だけでなく、権利の強さ(実務上の防御力)に直結します。

各区分の内容(特許庁 区分解説より)

特許庁が公表している「商品及び役務の区分解説〔国際分類第11-2022版対応〕」をもとに、各区分の概要を整理します。事業に関係する区分を押さえるための参考にしてください。

商品の区分(第1類〜第34類)

区分 内容のポイント 主な商品例
第3類 洗浄剤及び化粧品 シャンプー、化粧水、歯磨き、洗剤
第5類 薬剤 医薬品、サプリメント、衛生用品
第9類 情報処理用機械器具・電気機器等 スマートフォン、パソコン、アプリ(ダウンロード用)、電子書籍
第14類 貴金属、宝飾品及び時計 指輪、ネックレス、腕時計
第16類 紙、紙製品及び事務用品 印刷物、文房具、書籍、雑誌
第25類 被服及び履物 洋服、コート、靴、帽子
第28類 がん具、遊戯用具及び運動用具 おもちゃ、ゲーム、スポーツ用品
第29類 動物性の食品及び加工した野菜等 食肉、乳製品、冷凍野菜、惣菜
第30類 加工した植物性の食品及び調味料 米、パン、菓子、コーヒー、調味料
第32類 アルコールを含有しない飲料及びビール 清涼飲料水、ジュース、ビール
第33類 ビールを除くアルコール飲料 日本酒、ワイン、ウイスキー、焼酎

役務の区分(第35類〜第45類)

区分 内容のポイント 主な役務例
第35類 広告、事業管理・運営、小売・卸売の業務 インターネット販売(小売)、広告代理業、人材派遣
第36類 金融、保険及び不動産の取引 両替、融資、保険、不動産仲介
第38類 電気通信 インターネット接続サービス、放送
第39類 輸送、こん包及び保管並びに旅行の手配 宅配便、物流、旅行代理業
第41類 教育、訓練、娯楽、スポーツ及び文化活動 セミナー、オンライン講座、映像配信、スポーツ教室
第42類 科学技術に関する調査研究・ソフトウェアの設計及び開発 SaaS提供、ソフトウェア開発、クラウドサービス(PaaS/IaaS)
第43類 飲食物の提供及び宿泊施設の提供 レストラン、カフェ、ホテル、民泊
第44類 医療、美容、農業等に係る役務 エステ、美容院、医療サービス
第45類 冠婚葬祭・個人の需要への役務、警備及び法律事務 法律相談、冠婚葬祭サービス、警備

第9類と第42類:デジタル・IT系は要注意


IT・デジタル系のビジネスでよく迷う区分がこの2つです。

  • 第9類:アプリやソフトウェア(ダウンロード可能なもの)、電子書籍など「商品」としてのデジタルコンテンツ
  • 第42類:SaaS・クラウドサービスなど「オンラインで提供するサービス」、ソフトウェアの開発・設計

例えば、アプリをダウンロード販売するなら第9類、SaaSとして月額提供するなら第42類、という整理が基本ですが、実際は両方必要になるケースもあります。

区分が増えると費用が増える仕組み

区分数が増えると、特許庁へ納める公費(出願料・登録料)が区分数分だけ増えます。

手続 1区分 2区分 3区分
出願料 12,000円 20,600円 29,200円
登録料(10年) 32,900円 65,800円 98,700円
合計(10年分) 約44,900円 約86,400円 約127,900円

※出願料:3,400円+8,600円×区分数。登録料(10年):32,900円×区分数。弁理士費用(代理手数料)は別途。

特に登録料は区分数に比例して増えます。「とりあえず多めに入れておく」という考え方は、コスト面で非常に非効率です。一方、後から区分を追加することは原則できず、追加したい場合は別出願が必要になります。

BrandAgentでは、これまで2,000件以上の商標出願をサポートしています。「何類にすべきか」「費用をどう抑えるか」など、事業内容を伺って最適な区分をご提案します。
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指定商品・指定役務とは?区分との違い

区分(「第○類」)を決めたら、次にその区分の中で具体的に何を指定するかを記載します。これが「指定商品」「指定役務」です。

INPITの案内では、商標の使用をする商品・役務について、区分に従って「内容及び範囲が明確に把握できるよう具体的に記載する必要がある」と説明されています。

たとえば第25類(被服・履物)であれば、次のように記載します。

記載方法 注意点
個別列挙 ジャケット、スカート、オーバーコート… 範囲を絞りたい場合に有効
包括表示 洋服、コート、セーター類 一定範囲をまとめてカバーできる
最広義の包括表示 被服 洋服・コート・セーター・和服等を含む広い範囲をカバー

指定商品・役務の書き方が曖昧だと補正指令が発令されて審査が遅れたり、書き方が適切でなければ拒絶理由につながることもあります。区分の選定と同様に、指定商品・役務の設計は非常に重要です。

区分の選び方(実務の3ステップ)

「何類を取るべきか」は、事業の実態から逆算します。ここを適当にすると、後で確実に困ります。

ステップ1:今の事業で"実際に使う"商品・サービスを洗い出す

まず、商標を使う対象を具体化します。販売する商品(EC・卸・店舗)、提供するサービス(サブスク、アフターサービス等)、ソフトウェア・アプリ・オンライン提供など、「何となくこの業界」ではなく実際の提供内容に落とし込みます。

ステップ2:近い将来の展開(確度が高いもの)を検討する

半年〜1年で高い確度で始めるものは、最初から入れる価値があります。一方、「いつかやるかも」で大量に入れると登録料が区分数分かかるため費用が膨らみます。将来展開は確度で取捨選択することが重要です。

ステップ3:J-PlatPatで区分を調べ、指定商品・役務の書き方を整える

何類に属するか分からない場合は、特許情報プラットフォーム(J-PlatPat)の商品・役務名検索で調べることができます。そのうえで、指定商品・役務の書き方を「類似商品・役務審査基準」に合わせて整えます。

よくある失敗例(あとから泣く)

区分で起こりやすい失敗

  • 必要な区分が漏れている:守りたい範囲をカバーできず、後から別出願が必要になる(二重コスト)
  • 区分を入れすぎ:登録料が区分数×年数で効いてくるため、不要な区分は長期コストになる
  • 区分は合っているが指定がズレている:登録できてもビジネス上の防御力が弱く、侵害対応で困る
  • 指定商品・役務の表記が曖昧:補正指令が来て審査期間が伸びる原因になる
  • 第9類と第42類を混同する:ダウンロード型アプリ(第9類)とSaaS(第42類)は区分が異なる。どちらに当たるか確認が必要
  • 第35類の小売サービスを見落とす:ECサイト運営などは第35類(小売の業務において行われる顧客に対する便益の提供)が必要なケースが多い

区分は後から追加できるか?

既存の出願に「区分を追加」することはできません。追加したい場合は、原則として別出願になります(その分、出願料・登録料が別途発生します)。

だからこそ、最初の区分設計が重要です。後から「やっぱりこの区分も必要だった」となると、時間も費用も余計にかかります。

区分で迷ったときの判断基準

迷ったときは、次の優先順位で整理すると判断しやすくなります。

区分の優先度の考え方

  • ① いま実際に売っている(提供している)もの→ 必ず入れる
  • ② 近い将来、高い確度で始めるもの→ 入れることを強く検討する
  • ③ 「いつかやるかも」というもの→ 費用対効果で慎重に判断する

よくある質問(FAQ)

Q. 区分はいくつが一般的ですか?
A. 事業内容によります。1区分でカバーできる場合もあれば、2〜3区分が必要な場合もあります。「何区分が一般的か」より「守りたい範囲が何区分でカバーできるか」を基準に設計することが大切です。

Q. 多めに取るほど安全ですか?
A. 一概に安全とは言えません。登録料は区分数分かかるため、将来展開の確度と費用対効果を見て判断します。不要な区分は、長期的に見てコスト増になるだけです。

Q. 区分が決まらないまま出願してもいいですか?
A. 推奨しません。指定商品・役務の不備は補正指令や拒絶理由の原因になり、審査期間が伸びやすくなります。また、区分選定を誤ると守りたい範囲がカバーできないまま登録されることになります。

Q. 何類に属するか調べる方法はありますか?
A. 特許情報プラットフォーム(J-PlatPat)の商品・役務名検索で調べることができます。審査で採用された商品・役務名や類似群コードも確認できます。

まとめ

商標の区分について解説しました。

まとめ

  • 区分は第1類〜第34類が商品、第35類〜第45類が役務(サービス)の計45区分
  • 区分は「守れる範囲」と「特許庁費用(公費)」を同時に決める。過不足なく設計することが最重要
  • 出願料は区分数×8,600円増、登録料(10年)は区分数×32,900円。区分が増えるほど長期コストが重くなる
  • 区分の中に何を指定するか(指定商品・役務)の書き方も非常に重要。曖昧な記載は補正・拒絶の原因に
  • 後から区分を追加することは原則できない。必要な区分は最初から入れること
  • IT系はダウンロード型(第9類)とSaaS型(第42類)の違い、EC運営の第35類を見落とさないよう注意

「何類にすべき?」「指定の書き方は?」など、事業内容を伺って最適な区分と費用感をご案内します。

商標登録をお考えの方は、お気軽にご相談ください。

特許事務所BrandAgent
弁理士 叶野徹

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  • この記事を書いた人

叶野徹

京都の特許事務所BrandAgentを運営している弁理士です。関西の特許事務所→大手法律事務所→大手企業知財部→BrandAgentを設立。特許1,000件以上、商標2,000件以上をこれまでにサポートしています。趣味は温泉・サウナです。

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