中国商標

中国商標の拒絶理由とは?拒絶されたときの対応を弁理士が解説

悩んでいる方
中国に商標を出願したら拒絶された…。あるいは、出願前に「拒絶されないか」が不安…。中国商標は審査が年々厳しくなっていて、拒絶される割合も決して低くありません。どんな理由で拒絶されるのか、拒絶されたらどうすればいいのかを、弁理士がわかりやすく解説します。

中国は世界一の商標大国で、有効な登録件数は数千万件規模にのぼります。それだけ多くの商標が存在するため、新しく商標を登録するハードルは年々上がっています。実際、拒絶査定不服審判に持ち込まれた事件でも、相当数が拒絶のまま維持されているのが現実です。

この記事では、中国商標が拒絶される主な理由を整理し、拒絶されたときにどう対応すればよいか、そして拒絶されないために出願段階で何ができるかを解説します。

この記事の結論

中国商標の拒絶理由は、大きく「絶対的拒絶理由(識別力がない・公序良俗に反する等)」と「相対的拒絶理由(先行商標と同一・類似)」に分かれます。実務上は先行商標との類似が最多です。中国は拒絶理由通知なしでいきなり拒絶査定が出て、不服対応は15日以内(延長不可)という厳しさ。拒絶を防ぐ最善策は、出願前の十分な調査と、中国の審査実務を踏まえた設計です。

結論:拒絶理由は大きく2種類

中国商標の拒絶理由は、中国商標法に基づき、大きく次の2つに分類されます。

種類 内容
絶対的拒絶理由 商標そのものに問題がある場合。識別力がない、公序良俗に反する、品質を誤認させる等。
相対的拒絶理由 他人の先行する商標や権利と衝突する場合。先行商標との同一・類似が代表例。

実務でもっとも多いのは、相対的拒絶理由のうち「先行商標との同一・類似」です。中国には膨大な数の既存商標があるため、何の調査もせずに出願すると、知らないうちに似た商標と衝突して拒絶される確率が高くなります。順に見ていきましょう。

絶対的拒絶理由――商標そのものの問題

絶対的拒絶理由は、出願した商標それ自体に問題があるケースです。主なものは次のとおりです。

理由 具体例
識別力がない 商品の一般名称、品質・産地などを表すだけの語、ありふれた図形など。
品質等の誤認を招く 実際の商品と異なる品質・産地を消費者に誤認させるおそれがある表示。
不良影響(公序良俗違反) 社会の公共利益・公共秩序に悪影響を与えるとされる表示。中国特有の運用が広い。
使用目的のない悪意の出願 使う意思がなく大量に出願するなど、悪意が認められる出願。

特に注意したいのが「不良影響」です。これは公共の利益や秩序に悪影響を与える商標を禁じるもので、中国では運用の幅が広く、日本では問題にならないような表示が引っかかることもあります。また、近年の法改正で「使用を目的としない悪意の出願」は明確に拒絶対象とされ、取り締まりが強化されています。

相対的拒絶理由――先行商標との衝突(最多)

実務でもっとも多い拒絶理由が、これです。出願した商標が、すでに登録・出願されている他人の商標と同一または類似で、かつ商品・役務も同一または類似する場合、拒絶されます。

中国の審査では、商標が似ているかどうかの判断(類似判断)が年々厳しくなっている傾向があります。外観・称呼(読み方)・観念(意味)のいずれかで近いと判断されると、拒絶につながります。さらに、中国は区分内が「サブクラス」に分かれているため、どのサブクラスで先行商標とぶつかるかによっても結論が変わります。

厄介なのは、先行商標は自分では見つけにくいという点です。中国の商標データベースは中国語で、サブクラスの体系も日本と異なるため、自力調査では「似た商標を見落として出願→拒絶」という流れに陥りがちです。出願前の丁寧な調査が、拒絶を避ける最大の鍵になります。

中国特有の難しさ――いきなり拒絶査定、対応は15日

拒絶理由そのものに加えて、中国には手続き面での独特の厳しさがあります。日本では、審査で問題が見つかるとまず「拒絶理由通知」が届き、意見書や補正で対応する機会があります。しかし中国では、原則としてこの事前通知がなく、いきなり拒絶査定が出ます

そして、拒絶査定に不服がある場合の対応(拒絶査定不服審判の請求)は、査定の受領から15日以内と非常に短く、延長は認められません。日本の感覚で「通知が来てから考えよう」と構えていると、対応期限を過ぎてしまいます。

なお、一部の指定商品だけが先行商標と衝突して「部分拒絶」となった場合、不服審判を請求しなければ、衝突した商品は自動的に削除され、残りの商品で登録が認められる扱いになります。どの商品を守りたいかによって、対応すべきか否かの判断が変わるため、ここでも専門的な見極めが必要です。

拒絶への対応で失敗しやすい点

・拒絶査定の「15日以内」を過ぎてしまい、不服を申し立てられなくなる
・自力調査で先行商標を見落とし、拒絶されて初めて存在に気づく
・「不良影響」など中国特有の事由を知らずに出願してしまう
・部分拒絶を放置し、守りたかった商品が削除されてしまう

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拒絶されたときの対応と、拒絶を防ぐ方法

拒絶されてしまった場合、主な対応は拒絶査定不服審判の請求です。先行商標との類似が理由なら、商標自体が非類似であることや、引用された商標の識別力が弱いことなどを主張して争います。ただし、単に「独創性がある」と述べるだけでは認められにくく、勝算のある主張を組み立てるには実務経験が必要です。場合によっては、引用された先行商標に対して不使用取消請求を併用するなどの戦略も検討します。

もっとも、拒絶への対応には時間も費用もかかります。だからこそ、当事務所が重視しているのは「拒絶されない出願をする」ことです。具体的には、出願前に先行商標を十分に調査し、中国のサブクラス体系や審査傾向を踏まえて商標・区分・商品を設計します。この事前の作り込みが、結果的に時間とコストを最も抑えます。

拒絶リスクを下げるポイント

・出願前に先行商標を十分に調査する(英語名・中国語名の両方)
・サブクラスと審査傾向を踏まえて商標・商品を設計する
・識別力や「不良影響」などのリスクを事前にチェックする
・拒絶された場合の15日以内対応に備え、専門家と体制を整えておく

よくある質問(FAQ)

Q. 中国商標が拒絶される一番多い理由は何ですか?
A. 先行商標との同一・類似(相対的拒絶理由)が最多です。中国には膨大な既存商標があるため、調査せずに出願すると衝突しやすくなります。

Q. 拒絶されたら、もう登録できないのですか?
A. いいえ。拒絶査定不服審判で争う道があります。ただし対応期限は査定受領から15日以内(延長不可)と短く、勝算のある主張の組み立てが必要です。早急に専門家にご相談ください。

Q. 日本のように、拒絶理由通知が来てから直せますか?
A. 中国は原則として事前通知がなく、いきなり拒絶査定が出ます。日本のように「通知後に意見・補正」という流れではないため、最初の出願での作り込みが重要です。

Q. 「不良影響」とは何ですか?
A. 公共の利益や秩序に悪影響を与えるとされる商標を禁じる、中国特有の絶対的拒絶理由です。運用の幅が広く、日本では問題にならない表示が引っかかることもあります。

Q. 拒絶されないようにする方法はありますか?
A. 確実な保証はありませんが、出願前の十分な調査と、サブクラス・審査傾向を踏まえた設計で、拒絶リスクは大きく下げられます。これが最も効果的な「拒絶対策」です。

まとめ:拒絶を防ぐ鍵は「出願前」にある

中国商標の拒絶理由は、絶対的拒絶理由(識別力・不良影響など)と相対的拒絶理由(先行商標との類似)に分かれ、実務では先行商標との衝突が最多です。加えて、中国は拒絶理由通知がなくいきなり拒絶査定が出て、不服対応は15日以内という厳しさがあります。

拒絶されてから争うこともできますが、時間も費用もかかります。最善策は、出願前に十分な調査を行い、中国の審査実務に沿って設計し、そもそも拒絶されにくい出願をすることです。これは自力では難しく、現地の審査傾向を知る専門家の力が活きる場面です。

特許事務所BrandAgentは、中国の現地代理人と連携し、出願前の先行調査から拒絶対応までをサポートしています。「中国で拒絶されてしまい、どう対応すべきか分からない」「拒絶されないか心配なので、出願前に相談したい」といった方は、お早めにお問い合わせください。これまで累計4,000件超、2,000件以上の商標出願をサポートしてきた実績をもとに、最適な対応をご提案します。中国商標出願をご検討中の方は、BrandAgentまでお気軽にご相談ください。

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  • この記事を書いた人

叶野徹

弁理士 叶野徹 京都を拠点とする「BrandAgent特許事務所」代表。 これまで累計4,000件以上の商標案件に携わってきた商標・特許の専門家。 プロスポーツチーム『滋賀レイラックFC』様の公式マスコット(うーまくん)の商標登録を担当するなど、複雑なキャラクターIPやAmazonブランド申請のためのロゴの権利保護において高い実績を持つ。 最新のAI技術と豊富な実務経験を掛け合わせ、京都・滋賀をはじめ全国の経営者様のブランドを最短ルートで守る盾となります。

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