特許・意匠ブログ

PCT出願費用はいくら?必要な費用と支払い方法を弁理士が解説

悩んでいる方
海外でも特許を取りたいけど、PCT出願って費用はいくらかかるの?日本の出願より高くなりそうで不安……

こうした疑問に、弁理士がわかりやすく解説します。

PCT出願(PCT国際出願)は、ひとつの願書を提出するだけで、世界の多くの国に同時に出願したのと同じ効果が得られる国際特許出願制度です。とても便利な制度ですが、「結局いくらかかるのか」がイメージしにくく、外国出願に踏み出せない企業様も少なくありません。

この記事では、PCT出願の費用を「国際段階」と「各国移行段階」の2つに分けて整理し、出願時に必要な手数料の内訳から、費用を抑えるための具体的な方法までを解説します。

結論

  • PCT出願の費用は「①国際段階(出願〜国際調査など)」と「②各国移行段階(権利化したい国ごと)」の2段階に分かれます。
  • 日本語・オンラインで日本国特許庁に出願する場合、出願時の官費(特許庁等への手数料)はおおむね35万円前後。これに弁理士手数料が加わります。
  • 中小企業・スタートアップ・大学等は、手数料が1/2〜1/4に軽減される支援措置を利用できます。

PCT出願の費用は「2段階」で考える

PCT出願の費用を理解するうえで一番大切なのは、費用が発生するタイミングが大きく2段階に分かれるという点です。

ひとつ目が、PCT出願を行ってから国際調査などを受けるまでの「国際段階」の費用です。ここでは日本国特許庁(受理官庁)やWIPO国際事務局に対する手数料が中心になります。

ふたつ目が、優先日から原則30か月以内に、実際に特許を取りたい国へ手続を移す「各国移行段階(国内移行)」の費用です。ここでは翻訳費用や現地代理人費用、現地特許庁への手数料が国ごとに発生します。

PCT出願の大きなメリットは、最初の国際段階で全加盟国への出願日を確保しながら、各国移行はあとからじっくり選べる点にあります。つまり、初期費用を一気に膨らませず、市場性や特許性を見極めてから本当に必要な国だけに費用をかけられるのです。

【国際段階】出願時に必要な3つの手数料

日本語で日本国特許庁にPCT出願する場合、出願時には次の3つの手数料が必要です。

出願時に必要な3つの手数料(日本語・オンライン出願の目安)

  • ① 送付手数料:17,000円
  • ② 調査手数料(日本語・JPOが国際調査):143,000円
  • ③ 国際出願手数料:最初の30枚まで 250,500円(オンライン出願なら 56,500円減額)

③の国際出願手数料は書類の枚数で変わり、30枚を超える分は1枚あたり2,800円が加算されます。オンライン出願なら減額が受けられるため、30枚以内・日本語・オンライン出願であれば、出願時の官費合計はおおむね354,000円前後(17,000+143,000+194,000円)が目安です。

これに加えて、明細書・請求の範囲の作成や出願手続を依頼する場合の弁理士手数料(相場は15万〜30万円程度)が必要になります。

なお、英語で出願する場合や、欧州特許庁・シンガポール知的所有権庁などを国際調査機関に選ぶ場合は調査手数料の額が変わります。また、国際出願手数料・取扱手数料・海外調査機関の調査手数料は為替に応じて定期的に改定(直近は2026年5月1日改定)されるため、出願前には特許庁の国際出願関係手数料表で最新額をご確認ください。

任意手続「国際予備審査」の費用

国際調査の結果(国際調査報告・見解書)を受けて、特許性についてさらに踏み込んだ予備的な審査を受けたい場合や、明細書・図面まで補正したい場合には、任意で「国際予備審査」を請求できます。

日本国特許庁を国際予備審査機関とする場合の手数料は、予備審査手数料 34,000円+取扱手数料 37,700円が目安です(これに弁理士手数料が別途加わります)。

国際予備審査は必須ではありません。各国移行を前提に早期権利化を目指すなら、後述のPPH(特許審査ハイウェイ)を活用する選択肢もあります。

【各国移行段階】の費用の目安

実際に特許を取りたい国へ移行する際は、国ごとに次の費用が発生します。

各国移行時にかかる費用

  • 翻訳費用(その国の言語へ)
  • 現地代理人費用
  • 現地特許庁への国内手数料・審査請求料 など
  • 日本の弁理士手数料

特に翻訳費用と現地代理人費用の負担が大きく、移行する国の数だけ費用が積み上がります。あくまで目安ですが、審査での応答まで含めると、米国は総額100万円程度、欧州は200万円程度、中国は100万円程度を見込んでおくと安心です(請求項数・明細書の分量・応答回数で変動します)。

だからこそ、国際段階で得た国際調査報告をもとに「本当に権利を取るべき国」を絞り込むことが、PCT出願を費用面で活かす最大のポイントになります。

※これまで1,000件以上の特許サポートの実績を持つ代表弁理士の叶野が、すべての案件を直接担当いたします。

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PCT出願の費用を抑える4つの方法

PCT出願は工夫次第で費用を大きく抑えられます。代表的な4つの方法を紹介します。

① 中小企業・大学等の手数料軽減措置

中小企業・スタートアップ・大学等が日本語でPCT出願する場合、申請書を提出するだけで、国際段階の手数料が1/2〜1/4に軽減されます。

対象者 軽減率
中小企業(会社・個人事業主)、組合・NPO法人、研究開発型中小企業、大学等の試験研究機関 1/2
小規模企業、中小スタートアップ企業 1/3
福島復興再生計画に基づき事業を行う中小企業 1/4

軽減の対象は送付手数料・調査手数料・国際出願手数料(予備審査請求時は予備審査手数料・取扱手数料も)です。重要なのは、軽減申請は出願手続と同時に行う必要がある点。出願後に申請しても適用されないため注意してください。

② 自治体などの助成金

外国出願を対象に費用の一部を助成する制度もあります。例えば東京都知的財産総合センターでは、都内の中小企業者等を対象に費用の1/2以内(助成限度額あり)を助成しています。お住まいの自治体の制度も確認してみましょう。

③ 日本移行時の審査請求料の減額

日本国特許庁が国際調査報告を作成したPCT出願を日本へ国内移行すると、通常の国内出願に比べて審査請求料が約40%減額されます。

区分 審査請求料
通常の国内出願 138,000円+4,000円×請求項数
JPOが国際調査報告を作成 83,000円+2,400円×請求項数
EPO・IPOS・IPOが作成 124,000円+3,600円×請求項数

④ 調査手数料の一部返還

日本の国内出願を優先権の基礎としてPCT出願し、その審査結果の相当部分を利用できる場合は、願書に必要情報を記載することで、調査手数料143,000円のうち57,000円が請求により返還されます(記載がないと返還されないため注意)。

無料相談について(重要)


BrandAgentの特許に関する無料相談は、法人(中小企業・スタートアップ・製造業等)の方を対象としております。個人の方のご相談は有料相談となりますので、あらかじめご了承ください。

まとめ

PCT出願の費用は、「国際段階」と「各国移行段階」に分けて考えると整理しやすくなります。日本語・オンライン出願であれば出願時の官費は35万円前後が目安で、これに弁理士手数料が加わります。各国移行段階では、移行する国の数だけ翻訳・現地代理人費用が積み上がるため、国際調査の結果を踏まえて権利化する国を見極めることが費用最適化の鍵です。

さらに、中小企業・大学等の軽減措置や審査請求料の減額、調査手数料の一部返還などを組み合わせれば、負担を大きく抑えることも可能です。

特許事務所BrandAgentでは、これまで1,000件以上の特許をサポートしてきた実績をもとに、PCT出願の戦略立案から費用シミュレーション、各国移行の手続までトータルでお手伝いしています。

海外での特許取得・PCT出願をお考えの法人様は、お気軽にご相談ください。

特許事務所BrandAgent
弁理士 叶野徹

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  • この記事を書いた人

叶野徹

弁理士 叶野徹 京都を拠点とする「BrandAgent特許事務所」代表。 これまで累計4,000件以上の商標案件に携わってきた商標・特許の専門家。 プロスポーツチーム『滋賀レイラックFC』様の公式マスコット(うーまくん)の商標登録を担当するなど、複雑なキャラクターIPやAmazonブランド申請のためのロゴの権利保護において高い実績を持つ。 最新のAI技術と豊富な実務経験を掛け合わせ、京都・滋賀をはじめ全国の経営者様のブランドを最短ルートで守る盾となります。

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