
中国で登録されている商標の調べ方を知りたい。
中国で出願する場合に失敗したくない(注意点・流れ・費用まで知りたい)。
できるだけ費用を抑えたい。
こうした疑問に、弁理士がまとめて解説します。
中国市場でビジネスを行う場合、商標は「早い者勝ち(先登録主義)」のリスクが大きく、後回しにすると第三者に先取りされることがあります。
この記事では、中国商標の手続きの全体像/失敗しやすいポイント/費用の目安/検索(調査)方法を、初めての方にも分かるように整理します。
結論(先に要点)
- 中国は先登録主義:「出すのが遅い=取られる」リスクが上がります。
- 区分は同じ45類でも運用が違う:中国独自の指定商品(役務)設計が重要。
- 標準文字制度の考え方が日本と異なる:英語名でも中国語表記(当て字・略称等)も検討が必要。
- 費用は公的手数料は比較的安い:ただし代理人費用が別途かかります。
中国での商標調査や出願方針が不安な場合は、まずはご相談ください(調査を無料対応できる場合があります)。

- 関西の特許事務所と大手法律事務所と大手企業知財部で合計10年ほどの知財実務を積んできました。
- 特許サポート件数1,000件以上、商標申請代行件数2,000件以上の弁理士です。
- 京都で特許事務所BrandAgentを開業しています。
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- 初心者の方でもわかりやすいように記事を書くことが得意です。
この記事の構成
- 1. 中国商標制度のポイント(日本との違い)
- 2. 必要書類(日本出願との違い)
- 3. 手続きの流れ(出願〜登録〜更新)
- 4. 中国商標の検索(調査)方法
- 5. 費用の目安(公的手数料と注意点)
- 6. よくある質問(FAQ)
1. 中国の商標登録制度とは?(日本との違い)
中国の商標制度は、原則として先に登録した者が強い「先登録主義」です。
中国で事業をする可能性があるなら、早めの出願が重要です。
中国でも商標の種類(文字・図形・結合・立体など)を選び、国家知識産権局(CNIPA)に出願して審査を受けます。存続期間は10年で、更新が可能です。
失敗しやすいポイント(最重要)
- 中国語表記の対策(英語名でも中国語名で呼ばれる/当て字を先取りされる)
- 指定商品・役務の設計(日本と同じ感覚で書くとズレる)
- 先行調査の精度(後から覆すのが大変になりやすい)
2. 中国商標登録に必要な書類
中国出願は、現地代理人(中国側の代理人)を通じて行うケースが一般的です。必要書類は日本出願と異なる点があるので注意してください。
- ① 出願人の住所・氏名(名称)※中国語表記・英語表記
- ② 指定商品・役務と区分
- ③ 商標(文字/ロゴ等)
- ④ 委任状
- ⑤ 登記簿謄本(法人)/身分証明(個人)
- ⑥ 優先権証明書(優先権主張する場合)
特に委任状と証明書類が必要になる点、そして指定商品・役務の設計が日本と同一にならない場合がある点は重要です。
3. 中国商標登録の手続きの流れ(出願〜登録〜更新)
一般的な流れは次の通りです。
- 先行商標の調査(推奨)
- 書類準備・指定商品(役務)設計
- 出願(CNIPA)
- 審査
- 公告(異議申立期間)
- 登録・登録証発行
中国は日本と運用が異なる点があるため、「調査+指定商品設計」が成否を分けやすいです。
日本との主な相違点(要約)
- 公告(異議申立期間)が手続の中にある(3ヶ月間)
- 平均審査期間は約4〜8ヶ月(法定期間は9ヶ月以内)
- 日本と同じ感覚で「標準文字」扱いにできないケースがある(表記戦略が重要)
- カタカナ・ひらがなは「文字」ではなく「図形」として扱われる
期間の目安は案件・審査状況によって変動しますが、出願から登録まで通常7〜12ヶ月程度を見ておくのが安全です。事業開始が決まっている場合は早めに着手することをおすすめします。
4. 中国商標の検索(調査)方法
中国で出願する前に、同一・類似の商標が既にないか調べることが重要です。代表的には、CNIPAの検索(中国商標網)を使います。
中国商標網(CNIPA):http://sbj.cnipa.gov.cn/sbj/index.html の「商标网上查询」からアクセスできます。日本のJ-PlatPatに相当するサービスで、誰でも無料で利用できます。
中国商標網でできる主な検索
- 類似商標検索(商标近似查询):名称・称呼で類似商標を絞り込み検索
- 総合検索(商标综合查询):登録番号・出願人名など複数条件で検索
- 経過情報検索(商标状态查询):商標の審査状況・現在の権利状態を確認
- 商標公告検索(商标公告查询):公告番号・出願日で公告情報を確認
- 商品・役務表示検索(商品服务项目查询):区分・類似群コードで商品名を確認
検索で押さえる観点
- 区分(国際分類):まずは関連区分を確認
- 類似群(中国独自の分類コード):日本の類似群とは体系が異なる点に注意
- 表記バリエーション:漢字(簡体字)、ピンイン、英語、頭文字など
- 図形:ロゴは図形分類も検討
特に、英語ブランドの場合でも、中国では中国語表記(当て字・略称等)で流通することがあるため、英語+中国語表記の両方を調査するのが現実的です。
簡体字・ピンインの作成
検索では簡体字やピンインが必要になることがあります。変換ツールは複数ありますので、社内で使いやすいものを選ぶと良いです(Google翻訳等も利用可能)。
※ツール名や入手先は変わりやすいので、最新の安全な入手方法を確認してください。
5. 中国商標登録にかかる費用(目安)
中国商標の費用は、①CNIPAへの公的手数料(庁費用)と②代理人費用に分かれます。
公的手数料は比較的安価ですが、外国企業は原則として中国の代理機構(代理人)を通じて出願する必要があり、別途代理費用がかかります。
CNIPA公的手数料(庁費用)の料金表
以下はCNIPA(中国国家知識産権局)公式サイトに掲載の庁料金です(2019年7月1日施行・現行)。
出典:CNIPA公式 Trademark Fees
CNIPA(中国国家知識産権局)公式商標料金表
| 手続きの種類 | 紙出願(CNY) | 電子出願(CNY) | 目安金額・円換算※ | 備考 |
|---|---|---|---|---|
| 商標出願(1区分・指定商品10個以内) | CNY 300 | CNY 270 | 約6,000円/約5,400円 | 電子出願は10%割引 |
| 指定商品が10個を超える場合の加算(1個あたり) | CNY 30 | CNY 27 | 約600円/約540円 | 11個目以降、1個ごとに加算 |
| 登録証再発行 | CNY 500 | CNY 450 | 約10,000円 | 登録証の再発行が必要な場合 |
| 商標権の移転(譲渡) | CNY 500 | CNY 450 | 約10,000円 | 1件あたり |
| 更新登録料(1区分) | CNY 500 | CNY 450 | 約10,000円/約9,000円 | 10年ごとに必要 |
| 更新猶予期間の追加費用(期限後6ヶ月以内) | CNY 250 追加 | CNY 225 追加 | 約5,000円 | 期限を過ぎた場合の割増料金 |
| 審判請求(Review) | CNY 750 | CNY 675 | 約15,000円 | 拒絶査定等への不服申立て |
| 商標変更 | CNY 150 | 無料 | 約3,000円(紙のみ) | 電子出願での変更手続きは無料 |
| 登録証明書の発行 | CNY 50 | CNY 45 | 約1,000円 | — |
| 団体商標・証明商標の出願 | CNY 1,500 | CNY 1,350 | 約30,000円 | 通常の商標出願より高額 |
| 異議申立(Opposition) | CNY 500 | CNY 450 | 約10,000円 | 公告期間中(3ヶ月以内)に申立て可能 |
| 取消・無効申請(Revocation) | CNY 500 | CNY 450 | 約10,000円 | 不使用取消・無効申請に適用 |
※円換算は1CNY=約20円として計算(為替レートにより変動します)。
※電子出願は紙出願より10%割引。代理人経由でも適用される場合があります。
※代理人経由の場合は庁料金のほかに代理費用が別途発生します。
出典:CNIPA公式 Trademark Fees
※円換算は1CNY=約20円として計算(為替レートにより変動します)。最新レートをご確認ください。
※電子出願(オンライン出願)は紙出願より10%割引になります。
※代理人経由で出願する場合は、上記の庁料金のほかに代理費用が別途発生します。
出典:CNIPA公式 Trademark Fees
※円換算は1CNY=約20円として計算(為替レートにより変動します)。最新レートをご確認ください。
※電子出願(オンライン出願)は紙出願より10%割引になります。代理人経由でも電子出願が適用される場合があります。
※代理機構(代理人)経由で出願する場合は、上記の庁料金のほかに代理費用が別途発生します。代理費用に統一した基準はなく、各代理人が自由に設定できます。
出典:CNIPA公式 Trademark Fees/新興国等知財情報データバンク(INPIT)
※円換算は1CNY=約20円として計算(為替レートにより変動します)。最新レートをご確認ください。
※出典:CNIPA公式 Trademark Fees(2019年7月1日施行・現行)
代理人費用の目安(日本の弁理士事務所経由の場合)
| 費用の種類 | 目安金額(円) | 内容 |
|---|---|---|
| 事前調査費用 | 30,000〜60,000円程度(1区分) | 類似商標の有無を調査・報告 |
| 出願代理費用 | 50,000〜100,000円程度(1区分) | 書類作成・提出・庁費用込み |
| 登録時費用 | 20,000〜40,000円程度(1区分) | 登録料納付・手続き代行 |
| 合計目安(調査〜登録まで) | 約10万円〜20万円程度(1区分) | 事務所・区分数・商品数により変動 |
※代理費用に統一した基準はなく、各代理人が自由に設定できます。上記はあくまで目安です。
費用を抑えるポイント
- ①区分数を最小限にする:事業に必要な区分に絞ることで費用を削減
- ②指定商品・役務の数を整理する:1区分内で10個以内に収めると加算なし
- ③オンライン出願を活用する:紙出願より10%割引される(代理人経由でも適用可)
- ④日本出願と同時に行う:マドリッド協定による国際出願で複数国をまとめて出願できる場合もある
「何でも入れる」は費用増&審査上の不利につながることもあるため、戦略設計が重要です。
特許事務所BrandAgentでは、これまで2,000件以上の商標出願をサポートしています。中国出願の区分設計・費用見積もりもお気軽にご相談ください。
6. よくある質問(FAQ)
- Q. 中国で商標は先に取った方がいい?
A. 中国は先登録主義のため、事業展開の可能性があるなら早めに出願するのが安全です。 - Q. 英語のブランド名だけ出せば十分?
A. 実務上は、中国語表記(当て字・略称等)も流通することがあるため、併せて検討・調査するのが一般的です。 - Q. 費用を抑えるコツは?
A. 区分数と指定商品(役務)の数を最適化することです。1区分あたりの指定商品を10個以内にすると加算費用が発生しません。 - Q. まず何から始めるべき?
A. 先行商標の調査(英語・中国語表記の両方)と、指定商品(役務)の設計から始めるのが安全です。 - Q. 日本で登録していなくても中国に出願できる?
A. はい、日本での登録・出願がなくても中国商標登録を申請できます。ただし、日本出願日から6ヶ月以内であればパリ条約による優先権主張が可能です。
中国出願は「調査」と「指定商品(役務)の設計」で結果が大きく変わります。
状況を伺った上で、必要な区分・表記(英語/中国語)・費用感の目安をご案内します。
まとめ
中国商標は先登録主義のため、後回しにすると先取りリスクが高まります。
「調査→表記戦略→指定商品設計→出願」の順で進めると失敗しにくくなります。
公的手数料は出願CNY 300・更新CNY 500と比較的安価ですが、代理人費用を合わせると1区分で10万〜20万円程度が目安となります。早めに弁理士にご相談ください。