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商標のコンセント制度とは?2024年4月導入の新制度・要件・手続きを弁理士がわかりやすく解説

悩んでいる方

「先行登録商標と似ている」と言われて拒絶理由通知が来てしまった。
相手の会社と話し合って使い分けることにしたいけど、それって商標登録できるの?
コンセント制度って何?

こうした疑問に、弁理士がわかりやすく解説します。

令和6年(2024年)4月1日から、日本でも「コンセント制度」が導入されました。
これにより、先行する登録商標と似た商標であっても、先行商標権者の同意(コンセント)があり、混同のおそれがないと認められれば、併存して商標登録を受けることができるようになりました。
長年「日本では使えなかった」この制度が、ついに導入されたことで、中小企業やスタートアップのブランド選択の幅が大きく広がっています。

この記事のポイント

  • コンセント制度とは:先行登録商標権者の同意+混同のおそれなし、の2要件を満たせば類似商標でも登録可能になる制度
  • 施行日:令和6年(2024年)4月1日以降の出願から適用
  • 日本の特徴:同意があっても「混同のおそれがない」ことも審査される「留保型」
  • 注意点:早期審査の対象外・商標・指定商品が完全に同一の場合は原則認められない

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記事の信頼性

  • 関西の特許事務所と大手法律事務所と大手企業知財部で合計10年ほどの知財実務を積んできました。
  • 特許サポート件数1,000件以上、商標申請代行件数2,000件以上の弁理士です。
  • 京都で特許事務所BrandAgentを開業しています。
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  • 月間PV数最高11万超のブログを運営したこともあります。
  • 初心者の方でもわかりやすいように記事を書くことが得意です。

この記事の構成

  • 1. コンセント制度とは何か(わかりやすく解説)
  • 2. なぜ今まで日本になかったのか
  • 3. コンセント制度の2つの要件
  • 4. 手続きの流れと必要書類
  • 5. 注意点・使えないケース
  • 6. 登録後の義務(混同防止表示請求・取消審判)
  • 7. よくある質問(FAQ)

1. コンセント制度とは何か(わかりやすく解説)

商標登録の審査では、すでに登録されている商標と「同一または類似」する商標を同じまたは類似する商品・サービスに出願した場合、原則として登録を受けることができません(商標法第4条第1項第11号)。

しかし実際のビジネスでは、異なる企業が似たブランド名を使っていても、業種・地域・販路などが異なり消費者が混同することはないというケースも少なくありません。
そこで導入されたのがコンセント制度です。

コンセント制度のしくみ(一言でいうと)

先行登録商標の権利者が「うちと混同しません。同意します」と書面で承諾し、かつ審査官も「混同のおそれなし」と判断すれば、似ていても後から出願した商標を登録できる制度。

具体的なイメージ

たとえば、東京で飲食店「さくら」を営む会社Aが商標登録済みで、大阪で全く異なる業種(例:文具販売)の会社Bが「さくら」で商標出願をした場合。
従来なら類似商標として拒絶されていたところ、会社Aが「混同しない、同意する」と書面で承諾し、審査でも混同のおそれなしと認められれば、会社Bも「さくら」を登録できるようになりました。

なお、令和7年4月7日にはコンセント制度を適用した初の商標登録が行われたことが経済産業省より発表されています。

2. なぜ今まで日本になかったのか

欧米・アジアの主要国では以前からコンセント制度が導入されていました。
一方、日本では長らく「当事者間で合意がなされても、需要者(消費者)の誤認・混同のおそれが排除できない」として導入が見送られてきました。

しかし近年、以下の2つの観点から導入ニーズが高まり、令和5年(2023年)6月に「不正競争防止法等の一部を改正する法律」が公布され、令和6年(2024年)4月1日から施行されました。

  • 中小・スタートアップ企業のブランド選択の幅を広げる必要性:類似する先行商標があるだけで新たなブランドの登録が困難な状況が、新規事業の妨げになっているという声が多かった
  • 国際的な制度調和:米国・EU・中国・韓国など海外でコンセント制度を利用して登録した商標が、日本だけ同制度を使えないという不均衡があった

なお、日本が採用したのは「留保型コンセント制度」です。
先行権利者の承諾だけで自動的に登録が認められる「完全型」ではなく、承諾があっても審査官が「混同のおそれがない」と判断した場合のみ登録が認められます。需要者の利益保護を優先した日本独自の判断です。

3. コンセント制度の2つの要件

コンセント制度の適用を受けるためには、以下の2つの要件を両方満たす必要があります。

コンセント制度の2要件

要件① 先行登録商標の商標権者から承諾を得ていること

承諾は先行登録商標の商標権者本人から得る必要があります(専用使用権者・通常使用権者からの承諾は不可)。
署名・押印について審査官から積極的に求めることは想定されていませんが、内容に疑義がある場合は追加資料の提出を求められることがあります。

要件② 両商標の間で混同を生ずるおそれがないこと

承諾書を提出するだけでは不十分です。以下のような事情を総合的に考慮して、審査官が「混同のおそれがない」と判断することが必要です。

  • 両商標の類似性の程度
  • 商標の使用態様(どのような形で使っているか)
  • 取引の実情(販売先・流通経路・業種・地域など)
  • その他の具体的な事情

「混同のおそれがない」と認められやすいケース・認められにくいケース

認められやすいケース 認められにくいケース
・業種・販売先・販路が全く異なる
・使用態様(ロゴの使い方・付記表示など)で差別化されている
・取引上の住み分けが明確な場合
・グループ会社等で使用態様についての合意がある場合
商標と指定商品・役務がともに同一の場合(原則として混同のおそれ高と判断)
・類似性が非常に高く、業種・販路も重なる場合
・外国でコンセント制度により登録された実績だけを根拠にする場合

※グループ企業の関係にあるだけでは「混同のおそれがない」とは直ちに認められません。ただし、グループ会社であることを商標に付記して使用する合意がある等の事情は考慮要素になります。

4. 手続きの流れと必要書類

手続きの流れ

  1. 商標登録出願を行う(令和6年4月1日以降の出願が対象)
  2. 拒絶理由通知の受領:「先行登録商標と類似する」旨の拒絶理由通知(商標法第4条第1項第11号)が届く
  3. 先行登録商標権者と交渉し、承諾を得る
  4. 承諾書・混同のおそれがないことを証明する書類を提出(意見書の添付として提出するのが一般的)
  5. 審査官が混同のおそれの有無を判断→登録査定または拒絶査定

なお、類似する先行商標が事前に判明している場合は、出願時や拒絶理由通知前に書類を提出することも可能です。ただし、出願時には認識していなかった先願の商標が引用商標として後から通知されるケースもあるため注意が必要です。

必要書類

書類の種類 内容・注意点
①承諾書 先行登録商標の商標権者本人が作成。ひな形は商標審査便覧〔42.400.02〕に掲載。外国語の場合は日本語翻訳文を添付
②混同を生ずるおそれがないことを証明する書類 使用態様・業種・販路・取引の実情などを説明する書類。ひな形は商標審査便覧〔42.400.02〕に掲載
BrandAgentでは、これまで2,000件以上の商標出願をサポートしています。コンセント制度の活用・承諾書の取得戦略・拒絶理由通知への対応についても弁理士にご相談ください。
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5. 注意点・使えないケース

コンセント制度の注意点まとめ

  • 令和6年4月1日以降の出願にのみ適用:それ以前の出願は、審査係属中でもコンセント制度を適用することはできない
  • 早期審査の対象外:コンセント制度の適用を主張している出願は早期審査を利用できない
  • 商標・指定商品が完全に同一の場合は原則NG:商標と指定商品・役務がともに同一の場合、原則として混同のおそれが高いと判断される
  • 外国での登録実績はそのまま使えない:外国でコンセント制度により登録された事情があっても、日本での適用が認められるとは限らない
  • 分割出願には原則適用不可:令和6年4月1日前の出願を原出願として分割出願した場合、コンセント制度は適用されない
  • マドプロ出願の場合:国際登録の日または事後指定の日が令和6年4月1日以降のものが対象。手続きには国内代理人の選任が必要

施行日前後の出願の取り扱いまとめ

出願の状況 コンセント制度の適用
令和6年4月1日以降の出願 適用あり
令和6年4月1日より前の出願(審査係属中を含む) 適用なし
令和6年4月1日以降にパリ条約等による優先権主張をした出願(第一国出願が施行日前でも可) 適用あり
施行日前の出願を原出願とする分割出願(施行日以後に分割) 適用なし

6. 登録後の義務(混同防止表示請求・取消審判)

コンセント制度により2つの似た商標が並存登録された後も、消費者の混同を防ぐための仕組みが商標法に整備されています。

登録後の2つの制度

① 混同防止表示請求(商標法第24条の4第1号・第2号)

一方の権利者の使用により他の権利者の業務上の利益が害されるおそれのあるときは、混同を防ぐのに適当な表示を付すよう請求できます
例:「○○株式会社の○○です」という付記表示を付けるよう求めるなど。

② 不正使用取消審判(商標法第52条の2第1項)

一方の権利者が不正競争の目的で他の権利者の業務に係る商品・役務と混同を生ずる使用をしたときは、何人もその商標登録を取り消す審判を請求できます
つまり、コンセントを悪用して混同を意図的に引き起こす行為は登録取消のリスクがあります。

7. よくある質問(FAQ)

Q. 先行商標権者が承諾してくれれば必ず登録できますか?
いいえ。承諾だけでは不十分です。日本は「留保型コンセント制度」を採用しているため、承諾を得た上で、審査官が「混同のおそれがない」と判断した場合のみ登録されます。承諾書があっても拒絶される可能性があります。
Q. 令和6年4月1日前に出願した商標にも使えますか?
使えません。コンセント制度は令和6年4月1日以降にした出願にのみ適用されます。施行日前の出願は、審査が現在も係属中であっても対象外です。
Q. 承諾書はどんな書式で用意すればいいですか?
特許庁が商標審査便覧〔42.400.02〕にひな形を公開しています。署名・押印について審査官から積極的に求めることは想定されていませんが、内容に疑義がある場合は追加資料の提出を求められることがあります。外国語で記載された承諾書には日本語の翻訳文の添付が必要です。
Q. 商標も指定商品・役務も先行商標と全く同じでも登録できますか?
原則として認められません。商標と指定商品・役務がともに同一の場合、混同のおそれが高いと判断されます。
Q. コンセント制度で登録したことは公開されますか?
はい。J-PlatPatの商標検索で「同意併存登録」の有無を確認できます。また、商標公報・国際商標公報に【同意併存登録】と表示されます。
Q. 早期審査と組み合わせて使えますか?
使えません。コンセント制度の適用を主張している出願は、早期審査の対象外です。
Q. グループ会社間でコンセント制度を使えますか?
グループ企業の関係にあるだけでは自動的に認められません。ただし、グループ会社であることを商標に付記して使用する合意がある等の具体的な事情がある場合は、混同のおそれを判断する際の考慮要素になります。
Q. 外国でコンセント制度で登録実績があれば日本でも通りますか?
外国での登録実績だけを根拠とすることはできません。日本では両商標の間で混同のおそれがないかを個別に判断します。
コンセント制度の活用についてご相談ください
「拒絶理由通知が届いた」「先行商標権者との交渉方法を知りたい」「承諾書の書き方がわからない」など、状況に合わせてアドバイスします。
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まとめ

  • コンセント制度は令和6年4月1日以降の出願から適用される新しい制度
  • 先行登録商標権者の承諾(コンセント)+混同のおそれなしの2要件を満たせば類似商標でも登録可能
  • 日本は「留保型」のため、承諾があっても審査官が混同のおそれを個別に判断する
  • 商標・指定商品が完全に同一の場合は原則認められない
  • 早期審査との併用は不可
  • 登録後も混同防止表示請求・不正使用取消審判の制度があり、不正な使用は登録取消リスクがある

商標登録・コンセント制度の活用をお考えの方は、お気軽にご相談ください。

特許事務所BrandAgent
弁理士 叶野徹

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  • この記事を書いた人

叶野徹

京都の特許事務所BrandAgentを運営している弁理士です。関西の特許事務所→大手法律事務所→大手企業知財部→BrandAgentを設立。特許1,000件以上、商標2,000件以上をこれまでにサポートしています。趣味は温泉・サウナです。

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