
特許ってどうやってとるの?
出願書類は何を準備すればいいの?
こうした疑問に弁理士が解説します。

この記事を書いている人。
特許事務所BrandAgentの代表弁理士。
これまで特許事務所と大手法律事務所にて、1,000件以上の特許サポートを行う。
専門分野は材料系だが、機械系や情報系も担当した経験があり取り扱える領域は幅広い。
本記事の構成
1.特許のとり方。出願から登録までの流れを図解で解説
2.特許出願の手順を図解で解説
3.特許出願後の注意点。出願審査請求が必須です。
4.特許出願から登録までの費用はどれくらい?
5.特許出願で失敗しないために重要なポイント
6.弁理士に特許出願を依頼するメリットとデメリット
7.特許出願のとり方のまとめ
本記事を読むメリット
- 特許のとり方がはじめてでも特許のとり方の流れを理解することができる。
- 特許のとり方で失敗しないためのポイントを理解することができる。
1.特許のとり方。出願から登録までの流れを図解で解説
特許出願から登録までの流れは以下のとおり。
- 1.特許出願をする。
- 2.出願審査請求をする。
- 3.実体審査~審査結果を待つ。
- 4.(拒絶理由が通知された場合)意見書・補正書を提出する。
- 5.(特許査定が通知された場合)登録納付をする。
- 6.設定登録を待つ。(登録証が通知される)
このうち、後で解説しますが、特許出願をするとき、出願審査を請求するとき、登録納付をするときに、特許庁に料金を支払う必要があります。
それでは各ステップについてくわしく解説していきます。
特許出願の手順を図解で解説
特許「出願」は、特許「申請」と同義です。
まずは特許庁に特許を申請をすることからはじまります。
特許出願は以下のとおりです。
- 1.特許調査
- 2.特許出願書類の準備
- 3.出願書類の提出
順番に解説します。
特許調査
ここでいう「特許調査」は、「先行技術調査」と同義です。
「特許調査」とは、あなたが特許を申請しようとする発明内容が、すでに特許権として登録されていないかどうか事前に調査します。
特許出願の手順に、特許調査は必ずしも必要ではないですが、事前に調査しておくと特許をとれる可能性などが事前にわかりますので出願の戦略をたてやすくなりおすすめです。
特許調査は、特許庁の公式サイトである「J-PlatPat」を使用します。
「J-PlatPat」にはすでに出願された発明内容が公報で公開されています。
特許出願書類の準備
特許出願に必要な書類は以下のとおり。
- 「願書」出願人の氏名(名称)・住所(居所)や、発明者の氏名・住所を記載します。
- 「要約書」特許を出願する発明の内容をかんたんに要約した書類です。
- 「明細書」特許を出願する発明の内容・技術についてくわしく文章で説明した書類です。
- 「図面」特許を出願する発明の図をまとめた書類です。必ずしも必要ではありません。
- 「特許請求の範囲」特許を出願する発明内容のうち、どこからどこまでを権利とするかを文章で説明した書類です。
各書類の様式は「知的財産相談・支援ポータルサイトの各種申請書類一覧(紙手続の様式)」をご参考ください。
特許出願書類の提出方法は以下の3つのいずれかです。
- 特許庁へ持ち込み
- 郵送
- オンライン
郵送の場合は以下の宛先へ郵送します。
郵送先
〒100-8915
東京都千代田区霞が関三丁目4番3号
特許庁長官
オンラインで出願することもできます。
ただし、電子証明書やICカードリーダーなどの準備が必要となり面倒です。
特許出願書類を提出するとき、出願手数料の納付も行います。
持ち込みまたは郵送の場合は、出願書類の1ページ目に14,000円分の特許印紙を貼り付けて支払います。
特許印紙の購入は、特許庁か全国の郵便局で可能です。
また持ち込み・郵送での申請では、別途書類の電子化手数料がかかるので注意が必要です。
出願書類を提出してから10日程度で電子化手数料の振込用紙が届きますので、それを使って振り込みます。
オンラインで申請した場合は、出願手数料14,000円を以下のいずれかの方法で納付します。
- 電子現金納付(ペイジー)
- 口座振替
- 特許印紙の郵送
- 日本銀行窓口での現金納付(専用の納付書を使用)
3.特許出願後の注意点。出願審査請求が必須です。
続いて出願審査請求について解説します。
実は特許出願(申請)だけでは、特許庁による審査は始まりませんので注意してください。
特許出願の日から、原則、3年以内の間に「出願審査請求」もする必要があります。
商標出願の場合は、「出願審査請求」は不要ですが、特許出願の場合は、「出願審査請求」が必要です。
この点は注意してください。
ここで、出願審査請求では、出願審査請求書と言われる書類と手数料の納付が必要になります。
出願審査請求をしないと、特許出願は却下されますのでこの点注意ください。
出願審査請求書を提出する
出願審査請求書の様式は、「知的財産相談・支援ポータルサイトの各種申請書類一覧(紙手続の様式)」から入手することができます。
(3.中間書類の様式の(5)その他より。)
出願審査請求書の書類の提出方法は以下の3つのいずれかであり、手数料の納付方法についても特許出願の提出と同様です。
- 特許庁へ持ち込み
- 郵送
- オンライン
ただし、出願審査の場合は、手数料が異なります。
手数料については複雑ですので後で解説します。
出願審査請求をするとその数か月後に審査結果が通知されます。
審査結果の通知と応答
審査が終わると、特許庁から審査結果が通知されます。
審査結果は以下の2とおりです。
- 審査が通った場合、登録査定が通知されます。
- 審査が通らなかった場合、拒絶理由が通知されます。
ここで、登録査定が通知された場合、通知の日(発送日)から30日以内に登録料を納める必要があります。
登録料を納めると、設定登録されて、特許をとることができます。
一方で、拒絶理由が通知される場合は、出願書類の修正(補正)・意見書の提出により、再審査をしてもらいます。
一発で審査に通る確率はとても低いです。
拒絶理由が通知されることは当たり前のように思っていた方がよいでしょう。
たいていの場合は1~2回の拒絶理由が通知されて、補正書と意見書を提出することにより登録されることが多いです。
審査が通ると特許料を納付します。納付金額については以下で解説します。
4.特許出願から登録までの費用はどれくらい?
特許出願から登録までの間に、特許庁に手数料・特許料を支払う必要があります。
また、弁理士に依頼する場合、弁理士報酬も支払う必要があります。
特許庁に支払う内訳は以下のとおり。
- 特許出願時 ¥14,000
- 出願審査請求時 ¥158,000(請求項の数を5とした場合。)
- 登録時 ¥9,300(請求項の数を5とした場合。3年分の納付料金)
特許庁に支払う費用のシステムは複雑であり、一律いくらというものではなく、出願書類の内容によって変わります。
そこで、ここでは平均的な料金(請求項の数が5であることを想定。)としています。
おおよそ¥200,000ほどかかることを想定しておけばよいでしょう。
さらに、弁理士に依頼する場合は弁理士報酬がかかります。
弁理士報酬として、参考に特許事務所BrandAgentの料金を公開しています。
他所では出願審査請求時や登録時にも弁理士報酬を請求するところがありますが、BrandAgentでは、出願時と意見書・補正書提出時のみ料金を請求していますのでわかりやすい料金システムとしています。
ぜひご利用いただければと思います。
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5.特許出願で失敗しないために重要なポイント
特許出願をしたものの、登録できないケースは多いです。
そこで、ここでは特許出願で失敗しないための重要なポイントを解説していきます。
重要なポイントは以下のとおり。
- 出願はできるだけ早く
- 出願をするまでは内容は公開しない
順番に解説します。
出願はできるだけ早く
特許権は早いもの勝ちです。
似たような内容の発明が先に登録されていた場合、特許をとることができませんので、できる限り早く出願をすませておくことが重要です。
また似たような内容の発明が登録されていなくても、日本国内外でその内容が知れ渡ってしまうと、公知の発明とみなされて特許をとることができないため注意してください。
出願をするまでは内容は公開しない
さきほど、解説したように、日本国内外で発明の内容が知れ渡ってしまうと、公知の発明とみなされて特許がとれません。
このため、出願をするまでは発明の内容を公開しないようにしておくことが重要です。
例えば、技術発表などで公の場で発明の内容を公開してしまうと、原則、特許をとることはできなくなります。(この場合、救済措置がありますがこれについてはまた別途お話しします。)
そのため出願はなるべく早く済ませ、出願をするまでは内容を公開しないことが特許出願で失敗しないために重要です。
6.弁理士に特許出願を依頼するメリットとデメリット
弁理士に特許出願を依頼すると、費用が大きくなるというデメリットがあります。
その一方で、弁理士に依頼すると、以下のメリットがあります。
- 特許の登録可能性が高くなる。
- あなたが特許権で取りたい権利範囲をとりやすくなる。
弁理士は特許のプロです。
確かに弁理士報酬により費用は大きくなりますが、ほしい権利範囲で、より確実に特許をとりたいのであれば、弁理士に依頼することをおすすめします。
特許事務所BrandAgentではこれまで1,000件以上特許をサポートした弁理士が対応しますのでぜひご利用いただければと思います。
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7.特許のとり方のまとめ
以上、特許のとり方についてまとめました。
このブログでは今後も特許の基礎知識について解説していきますのでご参考いただけますと幸いです。