特許を取りたいけど申請から登録までにかかる費用を教えて。
こうした疑問に答えます。
特許を取得するためには、まず特許申請を行う必要があります。
特許申請については詳しくはこちらの記事を参考にしてください。
特許申請には一定の費用が必要です。
特許申請費用は、一般に、以下のようなものがあります。
- 申請料
- 審査請求料
- 登録料
また、弁理士に依頼する場合は、その弁理士報酬も必要となります。
そこで、本記事では、特許申請にかかる費用についてわかりやすいように解説するとともに、
特許申請の費用を節約するための方法についても解説していきます。
本記事の構成
1.特許申請の費用
2.特許申請の費用(弁理士に依頼した場合の相場)
3.特許申請の費用を節約する方法
特許申請の費用はどれくらい?
請求項数1 | 請求項数2 | 請求項数3 | 請求項数4 | 請求項数5 | 請求項数6 | 請求項数7 | 請求項数8 | 請求項数9 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
申請料 | 14,000円 | 14,000円 | 14,000円 | 14,000円 | 14,000円 | 14,000円 | 14,000円 | 14,000円 | 14,000円 |
審査請求料 | 142,000円 | 146,000円 | 150,000円 | 154,000円 | 158,000円 | 162,000円 | 166,000円 | 170,000円 | 174,000円 |
登録料(3年分) | 6,900円 | 7,500円 | 8,100円 | 8,700円 | 9,300円 | 9,900円 | 10,500円 | 11,100円 | 11,700円 |
合計 | 162,900円 | 167,500円 | 172,100円 | 176,700円 | 181,300円 | 185,900円 | 190,500円 | 195,100円 | 199,700円 |
上の表のように、費用は特許請求の範囲の請求項の数によって異なります。
申請料は14,000円(印紙代)かかります。
審査請求料は138,000円+請求数*400円(印紙代)かかります。
登録料は1年分あたり2,100円+請求項数*400円(印紙代)かかります。
3年分の特許料は6,300円+請求項数*600円(印紙代)かかります。
このため、特許の申請料は少なくとも162,900円かかることに注意してください。
そして、請求項数が増えるたびに費用もかかることから、費用を抑えたい場合はなるべく請求項数を少なくすることが重要です。
一方で、以下のものは費用がかかりません。
- 拒絶理由通知に対する応答
- 早期審査の申請
ただし、拒絶理由通知について、応答期限を過ぎてから応答したい場合は51,000円(印紙代)の延長請求費用が発生します。
また、拒絶査定が通知された場合、拒絶査定に対して応答する場合は、45,000円+請求項数*10,000円(印紙代)の審判請求料が発生します。
特許申請を弁理士に依頼した場合はさらにどれくらいかかるの?
特許申請の費用と相場(特許事務所に依頼した場合)
特許事務所に特許申請を依頼した場合の手数料は特許事務所によって異なります。
ただし、日本弁理士会は過去に特許事務所にどれくらいの手数料を請求しているのか調査をしていますので、この調査をもとに大体の相場について解説していきます。
特許事務所に依頼した場合の特許申請の手数料の相場をまとめると以下のとおりです。
明細書15頁、請求項数5、図面5枚、要約書1枚を想定 | 明細書15頁、請求項5、図面5枚、要約書1枚を想定 | |
---|---|---|
申請時 | 300,237円 | 454,000円 |
登録時 | 118,445円 | 232,386円 |
拒絶理由に対する応答(手続補正書)* | 63,556円 | 63,556円 |
拒絶理由に対する応答(意見書)* | 66,485円 | 66,485円 |
合計 | 548,723円 | 816,427円 |
*手続補正書と意見書は請求項数1の場合、請求項増加なしを想定したもの。
弁理士会のアンケート結果は平成18年実施のものであり、一昔前と古いですが、特許の場合は費用の相場は昨今それほど変わっていない印象です。
登録時には特許事務所は成功報酬として費用を請求することが多いです。
また、特許申請をすると、ほぼ1度は拒絶理由は通知されると思ってください。
このため、特許事務所に依頼すると拒絶理由に対する応答費用が発生します。
そうすると、あなたが特許事務所に依頼した場合はさらに平均550,000円ほど費用がかかると思った方がよいでしょう。
また、特許申請したい発明の難易度によって費用は変わることが多く、上の表のように明細書ページ数が増えると費用は大きくなる傾向です。
さらに、特許事務所によっては、以下のものについても手数料をとる場合があります。
- 早期審査を申請するための手数料 相場:3~5万円
- 出願審査請求のための手数料 相場:1万円
- 出願審査請求をするときの減免申請をする手数料 相場1万円
- 拒絶査定不服審判に応答するための手数料 相場10~20万円
以上をふまえると、
特許申請にかかる費用は、特許庁への印紙代も含めると、だいたい80~100万円くらいの費用は必要となります。
また、これだけの費用をかけても特許が認められない場合もあります。
そこで、まずは特許事務所に相談して特許が取れる可能性があるかどうかしっかりと検討することをおすすめします。
特許事務所BrandAgentでは、相談は無料で対応していますのでお気軽にご相談いただければと思います。
特許申請の費用が高すぎるなあ…
費用を抑える方法ってあるの?
特許申請の費用を抑える方法
特許庁には、出願審査請求料と特許料(1~10年分まで)を減免する制度があります。
ただし、この減免が受けられる申請人には一定の条件がありますので以下にまとめました。
特許料
減免対象者 | 審査請求料 | 特許料 |
---|---|---|
中小企業(会社) | 1/2に軽減 | 1/2に軽減(第1年分~第10年分) |
中小企業(個人事業主) | 1/2に軽減 | 1/2に軽減(第1年分~第10年分) |
中小企業(組合・NPO法人) | 1/2に軽減 | 1/2に軽減(第1年分~第10年分) |
中小ベンチャー企業(法人・個人事業主) | 1/3に軽減 | 1/3に軽減(第1年分~第10年分) |
小規模企業(法人・個人事業主) | 1/3に軽減 | 1/3に軽減(第1年分~第10年分) |
研究開発型中小企業(会社・個人事業主・組合・NPO法人) | 1/2に軽減 | 1/3に軽減(第1年分~第10年分) |
法人税非課税中小企業(法人) | 1/2に軽減 | 1/3に軽減(第1年分~第10年分) |
個人(市町村民税非課税者等) | 免除または1/2に軽減 | 免除または1/2に軽減(第1年分~第3年分) 1/2に軽減(第4年分~第10年分) |
アカデミック・ディスカウント(大学等の研究者、大学等) | 免除または1/2に軽減 | 免除または1/2に軽減(第1年分~第3年分) 1/2に軽減(第4年分~第10年分) |
独立行政法人等 | 1/2に軽減 | 免除または1/2に軽減(第1年分~第3年分) 1/2に軽減(第4年分~第10年分) |
公設試験研究機関を設置する者 | 1/2に軽減 | 免除または1/2に軽減(第1年分~第3年分) 1/2に軽減(第4年分~第10年分) |
地方独立行政法人 | 1/2に軽減 | 免除または1/2に軽減(第1年分~第3年分) 1/2に軽減(第4年分~第10年分) |
承認TLO | 1/2に軽減 | 免除または1/2に軽減(第1年分~第3年分) 1/2に軽減(第4年分~第10年分) |
試験独法関連TLO | 1/2に軽減 | 免除または1/2に軽減(第1年分~第3年分) 1/2に軽減(第4年分~第10年分) |
福島復興再生特別措置法の認定福島復興再生計画に基づいて事業を行う中小企業 | 1/4に軽減 | 1/4に軽減(第1年分~第10年分) |
参考:特許庁HP:「2019年4月1日以降に審査請求をした案件の減免制度(新減免制度)について」
中小ベンチャー企業(法人・個人事業主)
中小ベンチャー企業とは以下のとおりです。
(個人の場合)
- 事業開始後10年未満であること
(法人の場合)
- 設立後10年未満で資本金額又は出資総額が3億円以下の法人であること
- 大企業(資本金額又は出資総額が3億円以下の法人以外の法人)に支配されていないこと
小規模企業(法人・個人事業主)
小規模企業(法人・個人事業主)とは以下のとおりです。
(個人の場合)
- 常時使用する従業員※2の数が20人以下(商業※1又はサービス業に属する事業を主たる事業として営む者にあっては、5人以下)の個人事業主であること
(法人の場合)
- 常時使用する従業員の数が20人以下(商業又はサービス業に属する事業を主たる事業として営む者にあっては、5人以下)である法人であること
- 大企業(中小企業以外の法人)に支配されていないこと
法人税非課税中小企業(法人)
法人税非課税中小企業(法人)とは以下のとおりです。
- 資本金額又は出資総額が3億円以下の法人であること
- 法人税が課されていないこと
- 他の法人に支配されていないこと
減免申請の方法
出願審査請求料で減免申請をするためには、
出願審査請求書の「手数料に関する特記事項」欄に対象がどれに相当するか特定をしたうえで、減免を受けることを記載する必要があります。
(例)【手数料に関する特記事項】 特許法施行指令第10条第5号イに掲げる物に該当する請求人である。減免申請書の提出を省略する。
※対象に相当することを証明する証明書は不要です。
特許料で減免申請をする場合も同様です。
(例)【特許料等に関する特記事項】 特許法施行令第10条第5号イに掲げる者に該当する特許出願人である。減免申請書の提出を省略する。
特許庁に支払う費用の大きな割合を占めるのが出願審査請求料と登録料ですので、該当する場合は減免申請を受けておくことをおすすめします。
まとめ
以上のように、特許出願の費用をまとめました。
この記事を書いている弁理士が運営している特許事務所BrandAgentでは、特許申請もサポートをしています。
ぜひご利用いただければと思います。